2月12日(水)都内にて、3月30日(日)東京・後楽園ホール「Krush.172」の記者会見が行われた。
今大会では、Krushスーパー・バンタム級タイトルマッチ、王者・璃明武vs挑戦者・池田幸司の一戦を筆頭に、すでに9試合が発表済みだが、この日の会見では新たに2カードが追加発表され、さらに璃明武vs池田も両選手が登壇の上、改めて意気込みを述べる場が設けられた。
まずはそのKrushスーパー・バンタム級タイトルマッチ、王者・璃明武vs挑戦者・池田幸司の一戦。2人は試合についての意気込みをこう述べた。
池田「今回、Krushの挑戦権をいただいて、メチャクチャ感謝してます。璃明武は試合が面白くないし、塩試合製造機なので、そんな選手がKrushのチャンピオンというのも団体にとってはよくないと思うので、ここで僕がしっかりぶっ倒します。僕を挑戦者に選んでくれたのも、璃明武選手をボコボコにしろよという宮田プロデューサーからのメッセージだと勝手に思ってるので、期待に応えます」
璃明武「去年は4試合して、Krushで最初に防衛してK-1に連続参戦させてもらって、ちょうどKrushのリングは1年ぶりて、自分が見てるのはK-1チャンピオンなんですけど、ここでちゃんと1回Krushチャンピオンとして仕事をしないといけないのかなと思って。しっかり強さを見せて、また2025年もバンバン試合していくつもりなので、まずは一発目しっかり、圧倒的な勝ち方で見せたいと思います。期待してください」
質疑応答に移り、対戦相手の印象を問われた2人はこう回答。
池田「いや本当につまんない試合するなっていう印象です。遠い距離が好きみたいで、いつも相手を塩漬けしてるので、今回は俺が塩漬けしてやろうかなと思います」
璃明武「バンタム級でチャンピオンになっていて実績もあって、すごくいい選手だと思うんで、Krushタイトルマッチの挑戦者に今のメンバーだったらふさわしいのかなと思っています。油断はできないなと思っています」
璃明武は、冒頭からの池田の挑発的な発言についての心境を問う質問が出ると、「この前(後楽園大会のリング上)と同じことなので、準備してきて頑張ってるなという感じですね。僕は言われるのは慣れてるので、何も思わないです」と平然とした様子。これに池田が「頑張らせてよ、それぐらい」と重ねたが、璃明武は「本当にいい選手だと思うので、自分がしっかり圧倒します」と、あくまで挑発には乗らず。
そして記者からは池田の「俺が塩漬けしてやる」という発言に、「それだと(自分が低評価している璃明武と)同じなのでは?」とのツッコミも。池田は「同じですね、ダメっすね(笑)」と認め、「しっかりと俺が倒します」と訂正。その上で、自分がチャンピオンになったらKrushスーパー・バンタム級をどうしたいかと問われると、「Krush2階級制覇ってメチャメチャかっこいいので、璃明武選手に勝って2階級制覇して、そこからK-1に行きたいですね。デビューした時からの目標がK-1チャンピオンなので、金子晃大選手はメッチャ強いですけど、そこに挑んでいきたいです」と答えた。
璃明武は昨年、K-1で金子、大久保琉唯と連敗からこの防衛戦という形となる。そこを問われると「確かに戦績的には連敗でKrushに戻ってきたので、チャンピオンとして強さを見せるというのが一番大事だから、絶対勝たないといけない。そこを大前提に、他のKrushの選手とはやっぱ1段階レベルが違うなというところを見せたいなと思います」とコメント。また、「この連敗でK-1のタイトル戦線からは一歩引いた形だが?」と聞かれると、「前戦で勝っていればタイトルに絡んだ可能性もあったのかなと思うんですけど、そこで落としてしまったので、まずは今年しっかり連戦連勝というか、勝ちを重ねていくことが大事だと思います。自分の上には今は(金子と大久保の)2人しかいないと思うんですけど、そことやっても今は勝てると思っていて、でもまずは試合で勝たないと説得力がないので、しっかり結果で見せていきたいなと思います」と語った。
続いて池田に、「スーパー・バンタム級に上げてからの適合具合は?」との質問。これに池田は「バンタム級でやってた時よりもコンディションよくできてるので、あの時より強い池田幸司を見せられると思います。やっぱり減量も少ないので、生き生きと自分のポテンシャルを出し切れると思います」と回答。
また璃明武には「スーパー・バンタム級に上げてきた池田をどう見ているか」との問いが。璃明武は「もともと、フレーム的にも身長的にも大きい選手なので、スーパー・バンタム級でも全然適正なのかなと思うんですけど、自分的には前の階級の時と違いは別に分からないです。でも、今の階級でも全然ちっちゃい選手というわけではないので、適正階級だとは思っています」と答えた。
「この対戦はKrush随一のテクニシャン対決」と評する記者から、両選手には「相手のテクニックについてどう思うか」という質問が出され、2人はこう答えた。
池田「璃明武選手はテクニックで戦う選手なので、自分のテクニックがどれだけ通用するのかをメチャクチャ試してみたいところはあります。でもテクニックだけだとお客さんに伝わらない部分もあるので、その中でやっぱり倒し切る、KOてを3月30日に来てくれたお客さんやABEMAで見てくれるお客さんに見せて最強の王者になりたいと思います」
璃明武「自分も技術にこだわってるんですけど、池田選手には自分の技術は理解してもらえないのかって、そのレベルなんだなと思ったのですごく残念なんですけど。池田選手もテクニックは他の選手よりあると思っているので、技術で圧倒して、最後はしっかり倒したいと思います」
長期政権を築いている王者・璃明武と、2階級制覇を目指して挑んでくる池田。王座の行方はいかに?
この会見で最初の追加発表となったのは、Krushバンタム級タイトルマッチ。王者・黒川瑛斗に挑むのは、現Krushフライ級王者・大夢。黒川は昨年10月に王座決定トーナメントを制して王者となり、これが初防衛戦。当初、2・9K-1代々木への出場も予定されていたが、相手がハマらず出場は見送られた。一方で大夢は1月大会で初防衛戦の予定が、挑戦者の欠場により試合が中止に。大夢が階級アップも考えていたということでこのマッチアップが提案され、実現に至ったという。Krushでも過去に例を見ない現役王者同士のタイトルマッチとなった。
両者は試合への意気込みをこう語った。
大夢「Krushフライ級チャンピオンの大夢です。まず対戦を受けていただいた黒川チャンピオン、そしてすぐにオファーをくださった宮田さん、ありがとうございます。僕は、チャンピオンとしてリングに上がる以上、負ければこのベルトを返上しようかなと思っています。なのでしっかりここを勝って、2階級同時チャンピオンを目指します」
黒川「チャンピオンになってからちょっと期間が空いちゃったんですけど、すぐ試合するつもりでいたので、タイトルマッチが終わった2日後ぐらいから練習し始めて、スパーリングもずっと欠かさずやってきているので、試合間隔が空いたからといって別に何も準備してこなかったわけじゃないし、だいぶいい感じに仕上がっているので、逆に早く試合したいなと思ってたところに王者対決という、普段はできないような対戦が決まったので、僕自身すごくテンション上がっていて、早く3月30日、リングで拳を合わせたいなと思っています」
質疑応答では、まず大夢に「試合オファーが来た時の印象は」という質問が飛んだ。大夢は「初の階級でのタイトルマッチで、こうやって初戦でタイトルマッチを組んでもらって、すごく光栄に思っています。フライ級で戦っている時から1個上のこのバンタム級というのも視野に入れつつ戦ってきたので、こうやっていきなりタイトルマッチを組んでもらって、すごくうれしいです」と語った。
続いて両選手に相手の印象と、どう勝ちたいかを問う質問。これに両者はこう答えた。
大夢「全て含めて強い選手だなと思います。ここはKrushのリングなので、チャンピオン同士のタイトルマッチで、しっかりKrushというものを僕らで体現できたらなと思います」
黒川「テクニックがすごくあって上手な選手ですし、気持ちも強いので、チャンピオンらしい選手かなと思ってます。ここはバンタム級なので、その威厳を保つような勝ち方ができたなと思います」
黒川はこれが初防衛戦。「防衛はベルト奪取よりも難しい」とも言われるが、黒川は「別にそんなに意識はしてないというか、試合なんて勝つか負けるかなので、人間、ベルトを獲られる時もある、ぐらいの感じですね。そんなに重く捉えてないです」と回答。また所属するKRESTは昨年、卜部功也が代表となって練習内容も変化したという。そこについては「新しいエッセンスというか、すごく違った角度の刺激が毎日入ってくるので、格闘技をやってきて、今が一番楽しいですね。その影響を出したいというか、勝手に出ると思います」と、自信を覗かせた。
大夢はここで勝てば同時2階級制覇となるが、その後については「会長としっかり話し合っていきたい」とした。
通常体重は大夢が58kg前後、黒川が62~63kgと、本来の階級に応じた差がある。この差について聞かれた大夢は、「そこはあまり気にしていない」という。「僕たちは試合よりしんどい練習をしているので、それがこういう場で生きてくるのかなと思います」とも。
これに対し黒川は「(階級が上だということを)見せなきゃいけないですよね。このベルトを巻いてバンタム級のチャンピオンとして、王者対決で防衛戦をする以上、そこを見せなきゃいけないと思いますし、そういう試合になるんじゃないかなと思ってます」と応えた。また、「前回の試合でいろいろ課題が見つかって、そこを昨年末から修正してきているので、自分でも楽しみというのが率直な意見です。本当に今楽しんで格闘技をやれているので、このまま試合を楽しめたらいい結果、自分のやりたいような試合ができるんじゃないかなと思ってます」と語った。
宮田充プロデューサーが「これから動かしていく」と語るバンタム級。そのタイトルマッチとしての王者対決、一体どういう試合になるのか?
この日最後の発表は、タイトルマッチと同じバンタム級のワンマッチ。白幡裕星と心直の一戦だ。白幡は1月大会で林佑哉と戦ったばかりだが、宮田プロデューサーの「バンタム級をガンガン動かしていく」という方針の一環として、このカードを組んだのだという。
まず、両者は試合への意気込みをこう語った。
心直「正直、このカードに納得いってない人はたくさんいると思うんですけど……前回、林佑哉選手との試合で人生を懸けてたというか、勝ったら黒川選手のタイトルに挑めるというのが見えたところで負けて、年末とか年明けとか先が分からないというか、K-1 GROUPでこの先やっていくのが正解なのか正直分からなかったんですけど、宮田さんからこうやって、次期挑戦権を持っているであろう白幡選手とのマッチメイクが来たことで火がついたというか、宮田さんは俺を見捨ててないんだなと思って。この試合、本当にもう1回気を引き締め直して、チャンピオンベルトまで一気に行こうと思ってるので、頑張ります」
白幡「自分も前回、勝ちはしたんですけど、これで次、タイトルマッチかという試合ではないなと自分でも思ってて。そんな中、知名度のある心直選手がいたので、今回、このカードを受けることにしました」
と、ここで白幡が、Xでも書いていた通り心直に「ファイトマネー総取りマッチ」を提案。心直とのファイトマネーの差額は自分が払うとまで言う白幡に対し、心直は「僕はパチンコとかは好きなんですけど、デカいギャンブルはしないと決めているので、お断りします」と、まさかの拒絶!
これには宮田プロデューサーも「やんねえのかよ!」とずっこけ、心直を説得にかかったが、意気込みの段階から何となくいつもの勢いに欠ける心直は「俺が逃げたみたいになるのがイヤだから、この場でも発言は控えさせていただきます。政治家だって、こういうのがあるでしょう?」と開き直る。
だが報道陣から「正面から断言しない政治家が多い中、格闘家ぐらいは断言を!」とツッコまれると、「政治とか宗教とかっていう発言は、僕の口からは控えさせていただきます」とさらに弱気発言。
この流れに白幡は「今日の記者会見、メチャクチャ押されるなと思って覚悟して来たんですけど、今、若干押してますかね。今日はちょっとモヤモヤしてて、心直選手らしくないです。もっと来てほしいです」と、拍子抜けの様子。これに心直は「今、『デスノート』(アニメ)を見てて、早く続きが見たくて。頭から離れなくて、だからちょっと歯切れが悪いかも」と応答。
ここで改めてお互いの印象を問われると、両者はこう回答。
心直「バンタム級で一番うまいんじゃないかなと思いますね。(ここで2・9K-1のオファーの話が出て宮田プロデューサーとやり合うが、割愛)K-1 GROUPでヒット&アウェイをうまくやるなという、玄人好みの選手だなと思います。そういう面では(自分と)似てるんじゃないですか」
白幡「間合いがすごくうまい選手だなと思います。勝てる試合を逃してしまっているから、ナメてはいないです。このカード、正直周りからは『林選手にも勝ってるんだし、やらなくていいんじゃない?』みたいに言われたんですけど、僕はあえて今の心直選手とやりたいと思って。このバンタム級で一番知名度があると思うんですよ。いろんな部分で発信してて。だからここで心直選手に勝てば、自分も知名度とか足りない部分が分かってくるんじゃないかなと。Xもそうですけど、試合も自分のワールドを作るのがうまい選手だなと思ってます」
その上で、白幡は「Xで俺の戦い方はK-1、Krushにいらないって言ってたんですけど、なんか今、褒められてるんで」と困惑気味な表情。これに心直は「その時、ベロベロに酔っ払ってました」と告白。しかし「酔ってる時こそ本音が出るのでは?」とまたツッコまれると、言葉を失ってしまう。
続いて「挑戦権も見えてくる中で、どう勝ちたいか」と問われると、心直は「勝ち方? 勝ち方……?」とまた困惑。そこを宮田プロデューサーに激しくツッコまれる場面もありつつ、「お互い蹴りの選手だと思われているので、意外とパンチがカギなのでは」と答えた。白幡は「同じ火にバンタム級のタイトルマッチ、しかも王者対決という今までにないカードがある中で、ファイトマネー総取りマッチでお互いがぶつかり合うのであれば、判定でも面白いんじゃないかと思います。でも僕は倒しにいきますけどね」と回答。
白幡は続けて「やっぱりやったことないことをやらないと、このままだとバンタム級がなくなっちゃうと思うんです。そういう覚悟で自分は(ファイトマネー総取りマッチを)言いました。ただお金が欲しいとかじゃなくて、タイトルマッチ2つの間でバンタム級があって、自分たちがその前座っていう考えはイヤなんですよね。心直選手だからこそ、そういうことができるんじゃないかと思って」と、提案の真意を打ち明ける。
このやりとりに宮田プロデューサーも「お客さんの立場からすれば、ハッキリ言って、楽しければいいんですよ。面白ければいい、熱くなればいいんです」と持論を展開した上で、心直のハッキリしない様子にまたツッコミ。
最後に「他に言っておきたいことは?」と振られた心直は思い出したとばかりに、「白幡君のXのフォロワーがやたらと少ないんで、皆さんフォローしてあげてください」と呼びかけ。白幡のアカウントは凍結にあって作り直したそうで、まだ2ケタだという。宮田プロデューサーの仲裁の元、最終的に試合までに白幡はフォロワー1000、現在3400台の心直は5000を目指すということで決着した。
会見はシッチャカメッチャカになったこの試合、果たして当日のリング上はどうなるのか? 現時点では全くそこに向いていない気もするが、当日はタイトルを見据えた激闘を期待!(したい!)