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鈴木勇人、王者ヨードクンポン撃破で王座奪取へ「ポテンシャルを出せれば勝てる」=2.9K-1MAX代々木第二

 2月9日(日)、東京・国立代々木競技場第二体育館で開催の「K-1 WORLD MAX 2025」のK-1 WORLD GPスーパー・ライト級タイトルマッチで、王者・ヨードクンポン・ウィラサクレック(タイ/ウィラサクレック・フェアテックスジム)の王座に挑戦する鈴木勇人(日本/K-1ジム五反田チームキングス)が、インタビューに応えた。

 鈴木は、19年1月にKrushスーパー・ライト級王座を松下大紀と争いKO勝ち。20年2月にKrushスーパー・ライト級王座防衛戦で佐々木大蔵に敗れて王座陥落。その後も激闘を繰り広げ、24年3月に卜部功也の引退試合の相手を務め判定勝利を飾った。24年9月の第7代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王座決定トーナメント一回戦ではイオヌット・ポパと対戦も、出血によるTKO負けに終わった。

 ヨードクンポンは、ルンピニー、ラジャダムナンの二大スタジアムで活躍後、GLORYの-70kg世界トーナメントで優勝。23年にタイで開催のRWSでは8名参加のウェルター級王座決定リーグ戦に出場し、ファイナルへ進出。24年9月に開催された第7代K-1 WORLD GPスーパー・ライト級王座決定トーナメントでは、カン・ピナール、イオヌット・ポパを連続KOで下し、決勝は稲垣柊を破り新王者となった。
――ヨードクンポン戦のオファーがあった時は、どう思いましたか?

「きたー!って思いました」

――なぜ、自分が選ばれたのかとは思わなかったわけですね。

「あればいいな、とは思っていました。トーナメント一回戦敗退ですけど、血だらけになってよく分からない終わり方だったので、すぐに宮田プロデューサーと話して『不甲斐ないような内容ではないから』という言葉をもらって。次を期待して待っていたら、最高のチャンスをいただきました」

――たしかにイオヌット・ポパ戦の負傷での敗北で続きが見たかったのは事実ですが、いきなりタイトルマッチになったのは驚きました。

「自分としては、願ってもないことです。シンプルにラッキーと思っていました」

――ただヨードクンポン選手は、2連続KOで勝ち上がり、決勝では稲垣柊選手に蹴り勝ち、穴が見えない選手かなと思います。

「まともにやったら勝てないですね」

――激闘ですか?

「激闘しかないじゃないですか! でも、ヨードクンポン選手はうまく逃げる戦いもしてくるので、そこが問題ですよね。自分がパコーン選手と戦った時は、1、2ラウンドにのらりくらりと向こうのペースやられて、思い描いた試合ができませんでした。そうなったら相手の思う展開になるので、そこは自分も譲らずにペースを作りたいですね。倒すイメージもできています」

――怒らせれば、激闘に持ち込むことができそうですね。

「見ていたらファイター気質のところもあるので、自然と打ち合いの展開になるかなと。その隙を突いて打ち抜こうかなと思います」

――完全に勝ち筋が見えている感じですね。

「負けるパターンも見えています。ポイントアウトや距離を取られてやられたり、その展開も頭に入れています。いかに自分のペースでできるかを突き詰めてやっています。さすがにパンチが急所に当たれば、倒れると思います」

――今回のタイトルマッチは、どんな意気込みがありますか?

「もう集大成ですね。35歳になるんで。年齢は言うほど気にしていませんけど、いつまでもこの地位でズルズルと続けていくつもりはないので。やるならば、1番になりたい。あと一歩だったね、と言われる選手になりたくない。勝って一番になって、それからのプランのことを考えていきたい。一番にならないと、繰り返しになってしまう」
――鈴木選手が考える一流とは?

「チャンピオンベルトを持っている人が一流とは思っていなくて、どんな状況でも勝つ人ですね。無理だと思われても、勝つ。圧倒的に存在感を出すこと。勝ったり負けたりを繰り返していると、そういう突き抜けた存在になれないです」

――強さの定義を大きく2つに分けると、負けない戦いをする選手、倒す戦いをする選手になると思いますが、鈴木選手はどちらですか?

「自分は誰が見ても負けることが想像できないことが本当に強い選手だと思っていて、その人が持っている存在感、そこが大事ですね。生物的な強さというか」

――自分は、どのレベルまで来ていますか?

「ヨードクンポン選手を倒してからですね。そこからがスタートだと思っています。こう言いながらも、肩書とか立ち位置も大事だなと。チャンピオンかチャンピオンではないかも大事なので、そこも拘りとしてあります。タイトルマッチは互いに一歩も引かない戦いになるので、ここを勝ち切れる選手になりたい。まずはチャンピオンにならないと、そのステージに行けないので、自分はスタートラインに立つことが目標ですね」

――前回の出血でのTKO負けは、かなり悔しい試合になったのでは。

「想定外のことでした。いろいろなパターンを考えたんですけど、この展開は頭になかったです。出血して試合を止めるなとよと焦っていたこともありましたが、後から見たらこれは止められても仕方がないなと思いました」

――アクシデントなので、その先が見たかったですけどね。

「でも練習を含めて、すべてに負けたなと思いました。なんで、あのタイミングでハイキックをもらったのかなとか、あれがなければ出血もなかったことなので。リング上では、一瞬一瞬の技や気持ちの駆け引きがあるんですけど、あそこは受けに入っていてもらってしまいました。そう考えると、メンタルで負けましたね。周りは、たまたまとか言ってくれますけど、掘り下げて考えると、メンタル面ですでに負けていたと思いました」

――では、前回の敗戦は受け入れていると。

「完敗ですね。試合が終わった時にトレーナーとも話をしましたが、トーナメントも初めてですし相手もよく分からない状態だったので、ぶっつけ本番的に臨んでしまいました。気持ちの入り方も含めて、自分の準備不足です。あの負けは必然だったなと、受け入れています」

――それを踏まえて、ヨードクンポン戦は万全を期して臨むわけですね。

「はい。そのために、いろいろなことを想定していますし、どうすれば自分が負けない試合ができるのかを考えています。次は“バチっ”と、はまると思います。“おおー”となるはずです」

――ヨードクンポン選手は巨大な敵ではないわけですか。

「まったく及ばない相手ではないです。手も足も出ないとは思っていません。周りからは、『あれは勝てないよ。強いぞ』と言われるんですけど、自分のポテンシャルを出せれば勝てると思っています。やり方によっては崩せるイメージがあります」

――過去には引退の言葉も飛び出したこともありましたが、今は自信に満ち溢れているわけですね。

「前回のトーナメントで負けたら引退しようと思っていましたが、あの結末になって感情がぐちゃぐちゃになって。まだ、やり切っていないなと。でも、やることになったので今回の試合に集中しています」

――言える範囲で、強化すべき点はどこですか。

「バリエーションを増やすこと。あとは自分のストロングポイントを伸ばすことですね。技術は劣っているとは思っていないので、気持ちを作るのは最低限のこととして、自分のペースに持ち込みたいです」

――自信満々ですね。鈴木選手が勝つイメージが伝わってきました。

「勝てると思うんですけどね(笑)。これで負けたら、そういうことなのかなと」

――鈴木選手の先ほどの一流選手の話ではないですが、K-1トップ戦線で戦い、タイトルに絡む時点で、すでに一流です。

「そうですかね」

――ただ、ボクシングの井上尚弥選手ほどの無敗の強さを見せている選手は、一握りの“S級”になるのかもしれません。

「S級になりたいですね! とんでもない枠かもしれませんけど、自分を信じているので。ここから全勝で強さを見ていけば、少しでもそこに近づくと思っています。真剣に競技を始めてちょうど10年目なので、早く次のステップに行きたいです。ファンの印象に残る試合をしていきます!」
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