6月23日(日)後楽園ホールで開催される「Krush.162」の[Krushフェザー級/3分3R・延長1R]に出場する玖村修平のインタビューを公開!
──昨年9月以来、9ヵ月ぶりの試合となりました。
玖村 前回、KNOCK OUTでの栗秋祥梧戦が1RKOだったので、周りには「試合間隔を空けてダメージを抜いた方がいいんじゃない?」と言う人もいたんですけど、それより自分としては一回、自分の環境を整えたいと思ってもいて。流れが悪い状態が続いていたので、切り替えるために整えていて、それがやっと形になって、試合するタイミングになったという感じですね。
──なるほど。
玖村 前回の試合がああなるとは思っていなかったので。栗秋選手をナメていたわけではなくて、直前のアップでも周りの選手が驚いてくれるぐらい調子がよかったんですよ。でもリングに上がった瞬間に体が動かなくなって。緊張とかではないと思うんですけど、急に力が入らなくなって、試合に入り込めなかったんですね。いろいろやりたいこともあったんですけど、考えていたら一発もらってしまって。あの結果で、もう自分はリングに上がるべきじゃないんじゃないかと思ったんですよ。
──そうでしたか。
玖村 「これが自分の終わりなのかな」ともすごく思ったので、このままやめてしまおうかなと。特に前回の試合はKNOCK OUTとの対抗戦でしたし、その1週間前には弟の将史が、K-1の舞台で金子晃大選手と壮絶な試合をして盛り上げた後でもあったので、あの負け方ですごく叩かれたりもしたんですね。栗秋選手が格下とは思ってないですけど、こちらは元チャンピオンだし、「弟は頑張ってるのに兄貴が足を引っ張ってる」とか「あなた、いつから勝ってないですか?」とか、そういう意見をたくさんコメントに書かれたりして。結果としてもこうなってしまったし、リングでも自分を見失ってしまったので、「もう自分は終わりなんだな」と思って。
──……。
玖村 でも2週間ぐらい考えて、いろんな人と話したり、上京当時に書いていたメモを見たりして、あの頃に感じていたことを思い返したりもしたんですよ。ケガとかで続けられなくなる選手とかもいる中で、「勝てなくなったからやめる」っていうのは違うなと思って。自分は器用なタイプじゃないんで、どんなに泥臭くても這い上がるっていうのをずっと言っていたんだから、もう一度、一からスタートすればいい話なのに、そこでやめてしまうというのは、今まで言ってきたこともウソになるなと思って。自分のそういうところを応援してくれるファンの方とかスポンサーの方とかもすごく多いので。
──そういう方たちのことも浮かんだわけですね。
玖村 それに最近は自分のジムを出したりもして、言い訳とか逃げ道を考えていたところもあったんですよね。練習にも100%打ち込めているとは言えない状態だったので、そこを全部整えて、昨年10月ぐらいにはいつでも試合できる状態にはしていたんですよ。ただいろんなタイミング的に、ここで試合することになったんですけど。
──では、今はいい状態なんですね。
玖村 そうですね。今は格闘技に打ち込めていますし、「これだけやってダメなら仕方ない」というぐらい練習もできています。去年、栗秋戦の前に取り入れていたことも、今思えば、あの時点ではちょっと浅かったなというのがあって。それも改めて一から作り上げてきたので、この期間やってきたことでどれぐらい自分が新しくなれたかなというのを試したいという気持ちが強いですね。「絶対勝たなければならない」とかよりも、「今の自分がどこまでできるんだろう」という楽しみの方が大きいです。
──そんな状況で、桝本選手との対戦というのは?
玖村 一番、今の自分を試せる相手ではあるなと思ってます。レベル的にも負けられない相手だと思うし、桝本選手も最近は勝ててないとは言え、ちょっともったいない負け方が多かったと思うんですよね。だから桝本選手の最近の試合と比べても、「ちょっと格が違うな」というところを見せたいなと思ってます。そこでも「ものが違うな」と思わせたいというのが、モチベーションになりました。
──両選手とも、パンチで倒すことを一番に考えているタイプだと思います。打ち合いに持ち込みたい?
玖村 打ち合いにはならないかなと思います。それこそ「圧倒的に倒します」とか「一発で勝ちます」とか言う選手も多いですけど、僕のテーマは「触れさせない」です。今の自分にはそれができると思ってるので、いかにそのテーマを実践できるかですね。桝本選手がどれだけ練習してるか分からないですけど、その何倍も賭けてる自信があるので、正直、やってるレベルが違うと思うんです。上からじゃなく、それを見せる試合にしたいです。もし打ち合いの場面になっても、ファンの人が安心して見ていられるような、僕だけの展開で終わる試合をするのが理想ですね。
──久々のKrush参戦で、勝ったらその先は……。
玖村 Krush王座を失った試合を巡るもろもろについては今でも思うところがあるんですけど、そういうのも含めて栗秋選手のあの一発で目を覚まさせてもらったということについてはすごく感謝してるんですよね。あそこで勝ってたら天狗になってたと思うんで。結局どこのリングであれ、今の僕はイチからやらないといけないので、この悪い流れの元になったリングでやり直して再スタートするのがいいかなと思ったんですよね。そこからもう一回上がっていってこそ、いい流れになるのかなと。栗秋選手に感謝しつつリベンジするというのは一つの目標としてもあるし、まだK-1のベルトにも届いてないし。今、僕に期待してくれてる人はかなり減ってしまっているので、そんなところからでも諦めなかったらやれるんだぞという姿を見せたいという思いは強いです。
──では最後に、改めて今回の試合への“決意”を教えていただけますか?
玖村 今までやってきて、チャンピオンにもなったし、手に入れたものもたくさんあるんですけど、その全てを手放してイチから格闘技に向き合ってきました。今年の1月には1人で3週間タイに行ってきたんですけど、知ってる人もいない、言葉も通じない環境の中で毎日血だらけになって、そこでも自分と向き合ってやってきて。それも含めてこの9ヵ月間、しっかりやってきた覚悟というものを見せたいなと思ってます。
──分かりました。ありがとうございました!