山口翔大、K-1WGP本戦復活でイストラテと激突「空手家の僕が日本人初のK-1WGP優勝をはたします」=12.14 K-1代々木第一
山口は10月のK-1 WORLD GP 2024 無差別級アジア予選でエロール・ジマーマンと対戦して苦しめるもKO負けを喫し、本戦出場を逃した。だが、韓国のクォン・ジャンウォンが病気で欠場することが発表され、WGP本戦への復活が決まった。
イストラテはルーマニア出身・イタリア国籍のファイターで、23年9月10日、K-1 30周年記念無差別級トーナメント一回戦でマハムード・サッタリと対戦し、KO勝利。準決勝はシナ・カリミアンとの暴走ファイトを制し、決勝はリュウ・ツァーにKO負けも準優勝。24年6月の東欧予選は一回戦でニダル・ブチリと対戦も、判定を不服として試合放棄。前回のアジア予選はカリミアンと再戦も、頭部へのパンチがアクシデントとなりノーコンテストに。そこまでの判定で、WGP本戦へ進出した。
「11月の名古屋のKrushが終わって風呂に入っていたら、オファーの連絡がありました。欠場が出たので、何とかしてくれと。ただ、世界一のトーナメントの提示されて断れる性格ではないので、でも断らないとあかんなとは思っていました。どうやって自分が納得できる断る理由があるか探したんですが、見当たりませんでした」
――断ろうと思っていたと。
「正直、無差別級は身長や体重を考えると難しいなと思っていました。一回、クルーザー級(90kg)に戻して、シナ選手を踏み台にリュウ・ツァー選手の王座に挑戦して、それを獲ってから無差別級でもいいかなと構想を考えていました」
――そんな中で、気持ちを切り替えて出場を決意したわけですね。
「無差別級トーナメントがあるぞ、出てくれと言われたら、やはり燃えるものはあります。僕は勉強もできなかったし、育ちも良くない。空手しか頑張って来なくて。武道、格闘技をずっとやってきて、断る理由が見つからなかったです」
――空手家だから、やはりそこは“押忍”ですか。
「後輩にも相談したんですけど、『山口翔大が行く理由を探しているんでしょう?』と言われて。頭では断るべきだと分かっているんです。ジムの仲間、家族、みんなに『このタイミングは危ないから断るべきだ』と言われましたし。でも、デカイ相手だからと逃げたら一生後悔すると思いました。強くなるために格闘技をやっているのに、そこで逃げたら本末転倒じゃないですか」
――なるほど。自分のポリシーから外れると。
「これしかやっていないので、自分に嘘をつきたくないのが正直な気持ちです」
――シナ・カリミアン選手に対する制裁マッチの気持ちは?
「正直、それどころではなくて。あくまでも、その試合は通過点として考えていたので、一旦、そこは考えないようにしています」
「山口翔大なんで、何とかすると思います。個人的に考えたら怖いですけど、山口翔大を一番知っている自分としては、こういう場面こそ何とかしてくれるはずなんです」
――自分を信じているんですね。
「自分のことを一番信じているのは、自分です。そこは揺らがないです」
――イストラテ選手のファイターとしての印象は。
「パンチが強くて、しっかり練習しているなと思います。試合巧者のイメージもあります。自分の下段をどこまで当てられるのかがポイントかと思います」
――カリミアン選手とは、まったく違うタイプの相手です。
「やるしかないですよね。そこは、気合いと根性で何とかなると思います。あり得ないシチュエーションだからこそ、そこでやるのが山口翔大です。空手時代も、同じようなシチュエーションで結果を残してきました。これは、何かしでかすなと」
――何かしでかしますか?
「漫画の主人公なら、決勝でエロール・ジマーマン選手と対戦してリベンジで優勝です。僕は圧倒的な主人公になりたい。脇役とか二番手は好きじゃない」
――ちなみに、過去に起こした何かしでかすシチュエーションとは?
「極真空手ができて50年経って、JFKOという統一組織の大会が開かれて他流派の僕が重量級で初めての全日本王者になりました。50年経って初めてやれた僕ならば、K-1でも何かやるのではないかと思っています。今度は、K-1WGPの重量級で初めて優勝できる日本人になるのかなと期待しています」
――この逆境を楽しんでいると。
「ワクワクしています。僕が主人公の漫画で、僕が読者であり作者なので。読者としてはワクワク、作者はドキドキという感じです」
――イストラテ選手が相手なので、彼と因縁のあるカリミアン選手が山口選手のセコンドについても面白いですね。
「ホンマ、それは面白い展開で。僕が倒したあとは、2人でやってくれよと(笑)」
――準決勝、決勝はどう考えていますか?
「準決勝は、リュウ選手に勝った中国の選手が上がってくるんじゃないですかね。決勝は僕が漫画の主人公ならばジマーマン選手が相手で、でもK-Jee選手との日本人対決が実現できたら面白いですね」
――その先の展開は考えているのでしょうか。
「優勝したら、リュウ選手とのクルーザー級タイトルマッチもやりたいですね。クルーザー級はターザン選手という怪物も参戦して来ているので、気になるところです。でも、今はそれどころではないですね。まずはジマーマン選手に勝たないと何も始まらないので、そこだけに集中していきます。空手家の僕が、日本人初のK-1WGP優勝をはたします」