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「Krush.166」10.25(金)後楽園<インタビュー>心直「自分が好きで始めた格闘技で、ここまでこうやっていろんな人に応援してもらって、僕はその人たちを幸せにしたいし、そう思ったら勝つことだけが今は僕の中で全てだと思ってるんで、本当に勝ちたい。勝ちたいというより、勝つ」

10月25日(金)後楽園ホールで開催される「Krush.166」の[Krushバンタム級/3分3R・延長1R]に出場する心直選手のインタビューを公開!










──林佑哉選手と顔を合わせたのはカード発表会見の場で、おとなしかったとは言いませんが、いつもに比べるとあまり行かなかった印象でした。


心直 ああ、そうですね。僕のイメージが「誰にでもいく」みたいな感じで、芦澤竜誠選手みたいに、相手が誰でもワーッといくみたいな感じになってると思うんですけど、今回は試合に対するモチベーションが本当になくて。「何でコイツと?」というのがずっとあったので、相手に対するモチベーションがなかったんですよね。だから僕の言いたいことをしっかり言えばいいかなと思ったので、相手を挑発したりとかは全く考えてなかったです。それが会見にでちゃったなという。


──なるほど。そこから試合直前になってきましたが、モチベーションは上がったんですか?


心直 モチベーション自体は……大会3週間ぐらい前ですかね。ちょうど先々週ぐらいにやっとスイッチが入ったというか。それまでずっと、本当に今年1年は本気で頑張る、来年も継続して頑張るっていうのを心の中に決めてて。本当に格闘技をやり切るという意味で、僕のキックボクシングの終着点をちゃんと決めたんですね。やり切ると決めてから、練習量と質をしっかり求めてやるべきことをずっとやってて、普段の食生活から節制したりとかして、そこで決まった試合がこれで。「で、絶対ぶっ殺す!」って決めたのが3週間前でした。


──スイッチが入ったきっかけは何かあったんですか?


心直 きっかけは自分への怒りですね。


──というと?


心直 僕、けっこう遊びに行くんですけど、遊びに行った先でK-1の運営スタッフの方と知り合いの方がたまたまいて、目の前で「電話つないであげるよ」ってことで電話して、僕のファイトマネーのことだったり待遇のことだったりとか、いろいろ僕の中で積み重なったものがあったので、それをぶつけたんですよ。そもそも今のK-1は数字取れてるヤツいないし、俺よりもSNSを活用してやってるファイターもいないし、ある意味、身を削って、それこそ新井丈君のところに行って練習したりして、誰よりも心と体を使ってやってるのに、何で俺は甘いものを食べるだけのヤツより待遇が下なんだって、ファイターとして普通にそう思うじゃないですか。その違和感もあったりして、いろいろキレたんですよ。その上でいろいろギャラの交渉とかもしたんですけど、結果上がらなくて。なので、「自分の価値はこの程度なのか」っていうことに本当に絶望したというか。


──はあ。


心直 それでムカついて、「だったらもう、コイツを本当にコテンパンにしてやろう」と。トーナメントの決勝に上がってる黒川瑛斗選手は、林のことをKOしたじゃないですか。僕にも黒川選手みたいなKOができるかって言ったら、僕はたぶん、そういうファイターではないじゃないですか。打ち合うタイプでもないので。だからまた違った目線で、技術を見せようと思って。大会で一番インパクトを残すためには、別にKOじゃなくてもいいと、俺は思ってるので。今回この林佑哉という、Krushの中ではトップクラスとして評価されている難敵をどう俺が痛めつけるかという。そこを考えた結果、このモチベーションじゃダメだと思ったし、こんなくだらないことで、「こんな相手とはやりたくない」ってずっと考えてた自分にイライラが募って、そこでやっとスイッチが入った感じですね。


──では、今回は試合内容で見せるということにシフトしたわけですね。


心直 はい。口で言っても分からない連中がいっぱいいるので、だったらもう、リングに上がってパンツ一丁で殴り合うのは俺らだし、もうそこで見せればいいかなと。


──その「口で言っても分からない連中」って、KOしか評価してくれない、みたいなところがないですか?


心直 だから僕、「いまのK-1もそうだしキックボクシングってボクシングが上手い選手ばっかり評価されてスポットされてる。意味わからん」ってツイートしたんですよ。それはずっと疑問に思ってて。じゃあボクシング見ればっていう。別に運営だけじゃなくてファンも、格闘技やったことない連中が「ボクシングが上手いから強い」みたいなお前ら、黙れよ1回!みたいな。だったら別にキックボクシング見なくていいですっていうのが僕の意見なんで。俺らがやってるのはキックボクシングだし、俺らが魅せるのもキックボクシングだから。そういうところも憤りというか、イラ立ちを覚えてますね。


──じゃあ、心直選手が一番見せたいものは何なんですか?


心直 それは、来てくれたお客さんに対しても、スタッフに対しても、あとは今回の新井丈君の一件でMMAの選手や関係者の方々も見てくれると思うんで、「心直ってどういう実力なんだろう?」っていう疑問への答えを見せつける一戦として考えています。見せたいものというと、もう本当に「圧倒的な勝利」。「完封」。


──それは秒殺KOとかじゃなくて、相手に手も足も出させない、みたいな感じですか?


心直 そうですね、それが理想の形だと思います。


──ただ、先ほども言われていたように、林選手も実力者です。そこで圧倒するのは難しいのでは?と、勝手に思ってしまうんですが……。


心直 実力者なのは認めてますよ。そして正直、世間も僕に対してはそういう評価だろうと思います。直近まで4連敗してて、勝ったのが矢島(直弥)じゃないですか。うん。だからそういう評価なのは分かるんですけど、でも矢島戦で見せたものが僕の全てじゃないし、1RKOという形で終わってしまいましたけど、あの試合でこちらが用意してたカードは、あれだけじゃないので。展開次第では打ち合うっていうのも、僕らのチームとしては全然そこでも勝負できると考えてましたし、その中でルールをうまく使った戦いだったりとか、4連敗で落としてしまった自分の評価をしっかり判断してもらうというか、「お前らが見て俺を判断しろ」って思ってたんですね、あの試合は。だから入場からバスローブとか着てたんですけど、ただ俺はそういうところも見てほしかったんで。矢島戦に関しては、3分3ラウンドしっかり実力を見せて評価を取り戻したかったんですけど、2分ちょいで終わってしまったんで、まだみんな分かり切ってないと思うんですよ。だから今回、やっと僕が分かるかなっという。


──9分間、「こんなにうまいんだ!」「こんなにできるんだ!」と思わせるような試合ということですか?


心直 そうですね。今回は相手どうこうじゃなくて、自分がどこまで、来てくれてるお客さんだったりに見てもらえる試合をできるかというところですね。試合は、練習してきたことを出すことプラス、練習してきたことを確認できる唯一の場ななので。僕が目指しているところは正直、Krushで1勝するとか2連勝するっていうところではもう全くないので、本当にここで僕の目標に近づけるというか、「これならいけるよね!」っていう評価を取りにいきたいですね。


──先ほどのお話では、「終着点」という言葉もありましたし、この先そんなに長く戦うことは考えていないように聞こえたんですが……。


心直 はい。僕はこう見えて15歳でプロデビューして、もう8年やってきた中で、ちょっと思うところがあって。体の限界と心の限界というか……「何か疲れたな」ってシンプルに思っちゃって(笑)。ただ、キックボクシングというか格闘技は本当に好きだし、やりたいんですけど、それ以上に僕が今やりたいことがどうしてもできてしまって。それはここでも全然言えるんですけど、本当にMMAをしっかりやりたいんですよ。


──ああ、そういうことですか。


心直 はい。MMAのジムさんからもけっこうお声掛けいただくんですよ。丈君のジムでレスリングクラスとかも1回出て、「こんなに面白いんだ!」って思っちゃって、本当にそっちに行きたいなと。ずっと和食の家庭で育った子供がいきなりピザ食ったら、衝撃的に感じるじゃないですか。そんな感じのイメージっていうか。「MMAってこんな面白いんだ!」みたいな。僕はもうそっちがやりたくなっちゃったんですよ。でも、ただすぐに転向とかじゃなくて、ちゃんとゴールを設定したいなと思って。こうなったらやめる、やめるために頑張るということを、周りにも言ってて。「やめるために、それまで全力でやるし」みたいな。


──そうですか。


心直 キックボクシングが好きな気持ちに嘘はないし、K-1が好きな気持ちにも嘘はないんで、そのゴールまではちょっとお願いしますと。こうなったら引退するというビジョンは、Krushバンタム級のタイトルをしっかり獲得すること。今回、林選手がバンタム級トーナメント4人の中に選ばれていたので、ここで勝ったら次期挑戦者は確実に僕になると思うし。その上でKrushのベルトを獲って、その先、防衛戦をするかは悩みどころではあるんですけど。そこで引退っていうのもちょっと味気ない感じで、寂しいじゃないですか。だから最後に結果だけを求めるんであれば、K-1 WORLD MAXのバンタム級トーナメントをぜひ開催していただいて、そこで優勝して引退しようと。そしたら別にKrushの防衛戦をする必要はないし。そこはもう本当に僕のモチベーションですね。


──なるほど。


心直 僕ならできると思ってるし、逆に僕にしかできないと思うんですよ、こういうのって。例えば黒川君が今度の大会でベルトを獲ったとしても、「K-1チャンピオン、出てこいや!」って言っても、黒田斗真選手がやるわけないじゃないですか。白幡がベルト獲りました。「K-1の黒田選手、やりましょう!」。これもやるわけないじゃないですか。日本人とやったって、何のメリットもないから。だったら、本人が出たいって思うような大会を作って、出させればいいんですよ。それを分かってない。お前らにそんなメリットねえからって。メリットをしっかり作った上で、本人も世界最強を目指してるんであれば、そういうトーナメントなら出たいと思うし、ファイトマネーも保証されるし、優勝賞金も出るじゃないすか。そこまでやって黒田選手が出ないんだったら、もう知りませんけど。そういう大会にしないとダメだと思うんですよね。


──その第一歩が今回の試合ということですね。


心直 そうなりますね、確実に。次が林佑哉、その次がタイトルマッチ、世界トーナメント3試合で優勝。あと5試合で引退ですね。


──すごい最短距離ですね。


心直 そうじゃないとやってる意味ないし、うん何のために頑張ってるんですかって話ですよ。引退してMMAをやるまでの資金稼ぎもしたいし、注目度も集めたいし、だったらもう本当に最短で上まで上り詰めてやめるっていうことですね。


──あとはそれを現実にするだけと。


心直 それだけのことをやってる自信もありますし、うん。それを見せるのが今大会だと思ってるんで。


──いろいろ分かりました。では最後に、改めて今回の試合への“決意”を教えていただけますか?


心直 決意という点では、何よりも自分のため。自分が好きで始めた格闘技で、ここまでこうやっていろんな人に応援してもらって、僕はその人たちを幸せにしたいし、そう思ったら勝つことだけが今は僕の中で全てだと思ってるんで、本当に勝ちたい。勝ちたいというより、勝つ。絶対に勝つっていう、そのひと言ですね。まあ、勝負に絶対はないんですけど。その上で言えることは、今回は絶対に俺が勝つっていう。矛盾してるんですけど、勝負に絶対はないと思うけど、でも俺は今回絶対に勝つ。そう思ってます。


──分かりました。ありがとうございました!
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