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<誰も知らないMAX 7人の物語7>“不沈艦”ストーヤン・コプリヴレンスキー「全ての出来事は意味をもっている」=7.7代々木

 7月7日(日)に東京・国立代々木競技場第二体育館で開催の「K-1 WORLD MAX 2024」のK-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント決勝ラウンドに進出した海外強豪の7人(ワイルドカード除く)。一体、どんな選手なのか? 短期連載で開幕戦を振り返りつつ、彼らの素顔を探ってみた(最終回=ストーヤン・コプリヴレンスキー)。
“不沈艦”ストーヤン・コプリヴレンスキーは、GLORYライト級(-70kg)2位の強豪で、17年には現GLORY世界ライト級王者のティジャニ・ベズタティに勝利。22年12月に初来日し、RISEのリングでシュートボクシング王者の海人と激闘を繰り広げた。24年3月のMAX開幕戦ではカスペル・ムシンスキと対戦し判定負けも、オウヤン・フェン欠場で敗者復活のチャンスが巡ってきた。
<7・7決勝トーナメント一回戦組み合わせ>
ストーヤン・コプリヴレンスキー(ブルガリア)vs.ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)
デング・シルバ(ブラジル)vs.ダリル・フェルドンク(オランダ)
ヴィクトル・アキモフ(ロシア)vsロマーノ・バクボード(スリナム)
カスペル・ムシンスキ(ポーランド)vs.ゾーラ・アカピャン(アルメニア)
――MAX開幕戦のムシンスキ選手との試合は、最終ラウンドでダウンを奪われての逆転負けとなりました。
「とても残念でした。おそらく、ダウンするまではポイントで勝っていたはずなので、最後の最後でダウンを奪われて負けたことは本当に悔しかったです。すぐにモチベーションを立て直さなくてはいけなくなり、ジムで一生懸命に練習をしていました」
――あなたは過去の実績からも優勝候補と呼ばれていました。対するムシンスキ選手は、ほぼ無名のファイター。あなた自身は、彼のことを知っていましたか?
「彼のことは戦う前までは知りませんでした。だけど、非常に強い相手で、底力があり粘り強い相手だとわかりました。彼が勝つ流れになってしまったので、次は必ず自分が勝ちます」
――オウヤン・フェン選手の欠場で突然のオファーでした。コンディション含めて、試合を受けることに迷いはなかったでしたか?
「驚きはしましたが、もしかしたら誰かが怪我するんじゃないかという予感もありました。祈っていたわけではありませんが、そういう事態のために自分のコンディションを整えておこうと思っていたんです。日本のファンから愛情をこめたメッセージをたくさんもらっていたので、もしかしたら自分の番が来るんじゃないかなと予感はしていました。6月13日のK-1ルーマニア大会も、自分の相手が怪我をして棄権することになったので、なんだかそんな巡り合わせがあるのかなと思っていたんです」
――オファーがあった時は?
「もちろん他のファイターは怪我してほしくないとは本当に願っていたんですが、先ほども言ったようにオファーが来る予感がありました。来た時は驚きましたけど、嬉しかったというのが本音です。再び、トーナメントに復帰できるのですから」
――しかも、対戦相手はブアカーオ選手です。
「そう!しかも、ブアカーオというレジェンドと戦えることは、すごく嬉しいですね。子供の頃からキックボクシングやムエタイをやっているので、一番好きなK-1ファイターです。彼の試合はすべて見たし、研究して技を取り入れてもいます。本当に、今回彼と戦えることは光栄です」
――特にブアカーオ選手が好きだった理由は。
「僕が格闘技を始めたのはムエタイでしたが、彼は蹴りが強く自分も蹴りが強い感覚があったので、たくさんのことを学びました。魔裟斗やアンディ・サワーは、ボクシングも結構強かったので見るのは好きでしたけれども、自分の体に見合ったスタイルといえば蹴り技だったので、ブアカーオが僕の憧れでした」
――何歳の時に、ブルガリアからオランダのマイクスジムへ移籍したのですか?
「22歳です。ブルガリアでは15歳でムエタイを始めて、6、7年くらい練習していました。ヘッドギアや足パットを装着してアマチュアで60試合くらいやって、プロになるためにオランダへ来ました」
――オランダには有名なキックボクシングのジムはありますが、マイクスジムの優秀な所、気に入っているところはどこですか?
「ジムに入ったキッカケは、自分の仲のいい友達がマイク会長と仲良しだったからです。一回紹介してくれて、すぐにジムへ入りました。マイクスジムでトレーニングをすると、すごく自分のコンディションが良くなっていって、100\%の準備ができることがわかるようになりました。何かを変える必要はないので、ずっとマイクスジムにいます」
――自分に合っていたんですね。
「それにマイク会長は素晴らしいコーチだけではなく、非常に素晴らしいマネジャーでもあります。マイクスジムが、もしかしてヨーロッパで世界で一番有名かもしれません。彼は指導力だけではなく、自分のレベルに見合ったステージにいかせてくれるとても優秀なマネジャーです。だから、入りました」
――そうだったんですね。ブアカーオ戦に向けてチームで分析をしていると思いますが、憧れだった当時と今のブアカーオ選手を比べて衰えを感じていますか?
「パンチのリズムとか、ディフェンスが衰えていることは感じています。でも、まだ体が強く、パンチやキックの強さがあると思っています。タイミングは遅くなっていますが、彼の一発一発は強いので十分舐めてはいけない相手です。十分に気をつけないと、まだまだ危険です」
――現在のK-1を代表して、過去のレジェンドとやることになりました。今のK-1を背負って立つことに対してはどういう思いがありますか?
「そういう機会をもらえたことに、まず感謝しています。例えば、違う枠に入っていたら、誰かが先にブアカーオと戦って勝ってしまえば、戦うチャンスはなくなるわけですからね。そして感謝と同時に、自分の責任も感じています。キックボクシングというスポーツが進化していて、次世代のファイターが進化していることを証明しなければいけないわけですから。ブアカーオは非常に尊敬していますが、世代交代としての責任は果たさないといけないと強く感じています」
――ブアカーオ選手との試合は、どんな結末になりそうですか。
「KOは常に狙っています。だけど、それを重視して結果負けてしまったら意味がないので、あまり強く意識しないようにしています。彼の弱点を把握しているので倒すためにベストを尽くしますが、勝つための目的を見失うことなく彼と戦います。次世代が昔と比べて、技術もコンディションも力も優っていることを証明します」
――敗者復活としてトライするわけですが、優勝への意気込みは強いですか?
「今はモチベーションがすごく高くて、コンディションも抜群で怪我はないです。勝利に向けて、私を止めるものは何もないと思います。じつは前回の試合は、怪我で思い切りパンチが打てない状況だったので、今は万全の体勢で試合ができるので楽しみにしてください」
――最後にファンへメッセージをお願いします。
「前回は負けてしまって残念でしたが、もともと6月13日の試合に向けてとてもハードなトレーニングを重ねていましたので、コンディションは整っています。オウヤン・フェンの突然の棄権が自分のベストコンディションと重なったことは、まだ私に運があったということ。全ての出来事は何かの意味をもっていると思います。私がブアカーオというレジェンドを倒し、決勝でムシンスキにリベンジすることができれば最高のシナリオ。そうなるように、みなさんの応援をお願いします!」
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