7月27日(土)後楽園ホールで開催される「Krush.163」の[Krushライト級タイトルマッチ/3分3R・延長1R]に出場する伊藤健人選手のインタビューを公開!
──試合がだんだんと近づいてきましたが、練習の状況はいかがでしょうか?
伊藤 もう本当に順調ですね。日々日々、100%に近づけられるようにやってる感じです。
──追い込みはいつ頃までなんですか?
伊藤 1週間前ぐらいまでなんですけど、「追い込む」という意識ではなくて本当に倒し切るための練習をしているので、「ああ、今日も一生懸命追い込んだなあ……」という感覚ではなくて、本当に倒すために近づいたなという練習です。ミスをなくすというか、倒す確率を1\%でも上げていくという感じです。
──カード発表会見の時に大岩選手から、「伊藤選手が持っていたらベルトの価値が上がらない」という発言がありましたよね。その場でも反論されていましたが、あれはどう受け止めましたか?
伊藤 瞬間的には「チャンピオンになってない人間には言われたくないな」と思いました。3代続いて初防衛できてないベルトということで、やっぱりベルトの価値はチャンピオンである自分が上げるべきだと思ってるので、本当に巻いてない人間にその使命というのは分からないかなと。
──大岩選手は2月、伊藤選手がタイトルを獲った同じ大会で弘輝選手に勝って挑戦が決まった形ですが、あの日の大岩vs弘輝戦はどう見られましたか?
伊藤 僕は過去に2人ともやったことがあって、両方とも負けているので意識はしてたんですけど、当日は自分の試合の前だったので直接見ることはできなくて。あとで映像で確認したんですが、客観的な印象としてはちょっと締まりのない試合というか、伝わらない試合だったのかなと思いました。僕がまだチャンピオンになる前の試合でしたが、チャンピオンになって見返しても、自分の相手ではないのかなと思いました。
──同時に、よく初防衛戦のプレッシャーということをよく言いますが、それは実際に感じていますか?
伊藤 記者会見のときにも、「過去の格闘技界を見ても初防衛戦が一つの山場」というようなことを言っていて、でもその時はまだ具体的には分からなかったんですけど、やっていくうちに、マインドの持ち方なのかなと自分で捉えるようになっていて。それを分かった上で練習をずっとやってきたので、今はもう別にそのプレッシャーとかはないですね。自分が自分の動きをして、倒して勝って、その結果が防衛成功という形になると思ってます。
──その「マインドの持ち方」というのは?
伊藤 一つの目標としてずっと追ってきた「チャンピオンベルトを巻く」という結果が自分の手に入って、僕の場合はそれに向けて10年間ずっと走ってきたわけですよね。チャンピオンになった時に満足してしまった結果が、初防衛戦で失敗するっていう形になるのかなと、自分なりに分析していて。自分の場合はずっと追ってきたんですけど、ベルトを巻いて満足というのは一つもなかったので、また違うのかなと。だから初防衛戦のプレッシャーと、いうのはそういう重圧なのか、メインイベンターとしてやることの重圧なのかというのもあると思うんですけど、僕のマインドセット的には、別にまだまだ道の途中だという気持ちでいるので、初防衛戦だからどうこうというのはなくて。まだまだ道の途中で、ただベルトを持った人間として、その使命を果たしてよりトップに向かっていくというマインドでいるので、今はそのプレッシャーとかはないという感じです。
──それこそ傍目には、今言われたように10年かかっての初戴冠なので、達成感に浸ってもおかしくないという気はするんですが。
伊藤 そうですね。実際に僕の周りで、本当にずっと応援してきてくれてる応援団の人たちにはそういう気持ちがあるというのは、僕にも直接そういう声も届いてますし、そう思っていただけるのは良かったのかなとは思いますけど、僕本人の気持ちとしては、全然まだそういう気持ちがないので、全然まだ途中ですよという感じですかね。
──むしろここで満足してちゃ駄目だと。
伊藤 追ってる時のメンタルとしては、あれを絶対に巻きたいというメンタルでずっと走ってきたんですけど、巻いた時にはもっとやるべきことがあるんだなというのが新しく見えて、新しい自信とともに見えた部分があるので。
──今回は本当にチャンピオンとして、メインイベントの赤コーナーに立つわけで、その意味では前回の里見戦ともまた違うものがあると思いますが。
伊藤 そうですね。今の自分のスタイルは自分を全て出すっていうファイトスタイルというか、それこそそういう生き方になっているので、そこに関しては重圧というのはないですね。本当にそれを出すことに全部集中していて、必ず出すんですけど、そしたらメインイベントでも、別にどこの試合でも、必ずお客さんが盛り上がる試合になるので、そこは何も思ってないです。
──では、相手どうこうではないということですか?
伊藤 逆に言うと、相手どうこうにしたくないんです。本当に我を通すというか、それは本当にチャンピオンという立場だからこそ、どんな相手が来ても自分の戦い方を通して、メインイベンターとしての試合をするということですね。
──そういうところからしても、すごく変わったんじゃないですか。
伊藤 そうですね(笑)。本当に、昔から見ていただいてる方にはそういう言葉をいただいてますね。そういうところもヒントをもらったり、教えていただける環境にいるので、本当にありがたいです。
──かなりいい形のKOが2試合続いています。今回もそれを期待する方がどんどん多くなると思うんですが。
伊藤 周りの人にはぜひ期待していただいていいと思います。逆に、自分が自分に期待することはなくて。常に最悪の状況を思い浮かべて、もちろん最高の状況にするために日々やっているので。みんなの期待を応えるためにベルトを持っていると思っているので、そこは必ず使命を果たします。
──それを実現できているのは、楽しそうですよね。
伊藤 はい、めちゃくちゃ楽しいです(笑)。僕は勝ちと負けをずっと繰り返してる人間だったんですけど、ぶっちゃけた話、負けてる時も強くなってるのが自分では分かっていたんですね。結果がついてきてなかったので、そこには楽しさはちょっと薄かったんですけど、ただ強くなっているという実感はずっとあって。結果が出なくて本当に悔しくて、自分を信じ切れないけど、でも格闘技は楽しかったんですよ。そこからも練習して、自分の知らないところも知って、それに今結果が追いついてきてくれているので、より楽しいというか。だからこそ驕らないように、調子に乗らないように、自分で客観的に見るようにしています。
──ではもう、そのチャンピオンとしての自分を実際にリング上で出すだけと。
伊藤 そうですね。今の自分を出した結果、チャンピオンになれたので、より自分を出して、そこに「伊藤健人は強いから、やっぱりチャンピオンなんだよね」みたいな。「チャンピオンの伊藤健人のために頑張る」じゃなくて、「伊藤健人にチャンピオンがついてくる」みたいな感じですかね。ちょっと難しいんですけど(笑)。
──いえいえ。
伊藤 一つ変わらないことは、僕が勝つということなので。
──では最後に、今回の試合への“決意”を改めて教えていただけますか?
伊藤 今、たぶんチケットが9割ぐらい売れていて、また当日までに超満員にするように自分たちも含めて頑張るんですけど、見に来ていただいたお客さんにパワーを与える試合を必ずして、僕が、伊藤健人が倒して勝って、Krushのチャンピオンという形を周りにも発信できるような試合にするので、ぜひ注目していただけたらと思います。
──分かりました。ありがとうございました!