5月10日(金)、都内にて、6.23「Krush.162」後楽園ホール大会のカード発表記者会見が行なわれた。
まず発表されたのは、第9代Krushフェザー級王座決定トーナメントの準決勝、石田龍大vs“狂拳”迅、稲垣澪vs橋本雷汰の2試合だ。Krushフェザー級王座は、昨年の10.21「Krush.154」で篠塚辰樹が森坂陸を破って第8代王者となったが、その後他団体へと戦場を移し、王座を返上してしまったため空位となっていた。
会見の冒頭で宮田充Krushプロデューサーは、初代王者の武尊から始まるKrushフェザー級チャンピオンたちの輝かしい歴史を紹介し、「8人の選手が巻いてきまして、その中でも武尊選手と江川優生選手については、K-1 WORLD GPのフェザー級チャンピオンにも輝いているという、非常に由緒正しい歴史のあるベルト」と、Krushフェザー級王座の価値を強調。その由緒正しいベルトを争うために、石田は21歳、迅は20歳、稲垣は26歳、橋本は18歳という、比較的若い選手を集めてのトーナメントとなった。
21歳の石田はK-1甲子園2019の-60kg級王者に輝いた実績を持ち、現在6連勝中と勢いに乗っている選手だ。「やっとチャンスが回ってきたので、まずは狂拳くんに勝って、決勝に繋げたいと思います」と意気込みをコメント。また、同じジムの江川がかつて巻いていたベルトということもあり、「優生くんが獲っていたベルトなのでしっかり受け継いで、ここで獲るのと獲らないのとでは格闘技の俺の未来が変わってくると思うんで、しっかり獲りたいと思います」と、POWER OF DREAMにベルトを取り戻すことも誓っていた。
対する迅はK-1のトップ戦線で活躍する斗麗の弟で、現在はKrushのリングで2連続勝利中と、こちらも勢いのある選手だ。会見では、「僕は16歳でデビューして、ここまで4年間、死ぬ程苦しい時間を過ごしてきました。でも、これを獲ればね、全て報われると思っているんで、死ぬ気で獲りに行きます」と悲壮な覚悟を示す。「チャンピオンになるには相手関係ないんで、強い奴がチャンピオンになるんで」と相手のことは全く意に介さず。「乗り越えた試練の数」は誰にも負けないと豪語し、「初代狂拳も僕の兄貴の斗麗も獲れなかったこのKrushのベルトを僕が獲ります」と、ベルトの奪取を固く誓っていた。
もう一方の山では稲垣と橋本が激突。稲垣はKrushのリングで2連勝中で、相手も海外での実績を持つMOMOTARO、元Krushフェザー級王者の新美貴士と大物を食ってのエントリーだ。「待ちに待ったフェザー級のトーナメント、選んでいただけたなっていうのが今の気持ちです」とコメントした稲垣。弟の稲垣柊は現在Krushスーパー・ライト級王者ということもあり、「兄弟で獲りたいっていうのもあります」と兄弟チャンピオンの実現を目指す。また、「もちろんKrushで終わりじゃないと思っているんですが、Krushをしっかり獲ってK-1の方にも進んでいきたいと思っています」と、次なるステップに進むためにも、このKrushのベルトへの意欲を示した。
対する橋本は最年少の18歳。上京し、ジムを変えての1発目がこのトーナメントの準決勝だ。プロデビューしてからは8戦6勝0敗2分と、無敗街道を突っ走っている。しかもここKrushでの2戦は連続KO勝利を飾っており、「僕が獲って当たり前やと思っているんで、ベルトは通過点だと思っています」と自信満々だ。相手の稲垣について、デビュー前からトップ戦線で活躍していた選手とわかっていつつも、「自分では全然勝てると思うので、ぶっ倒します」と臆するところはない。「絶対今年中にチャンピオンになって、来年にはK-1のトップ選手でいられるようにする」と、最後まで絶対的な自信を見せていた。
この準決勝を勝ち抜いた2人による決勝戦は9.28(土)「Krush.165」後楽園ホールで行なわれる。決勝に勝ち進むのは誰だ?
また、この日はKrushライト級のワンマッチとして龍華vs児玉兼慎の一戦も発表。会見時のフォトセッションではいきなり両者フェイス・トゥ・フェイスとなり、早くも火花を散らしていた。
龍華は今年、K-1とRISEの対抗戦が行なわれたRISEのビッグマッチ、3.17「ABEMA presents RISE ELDORADO 2024」東京体育館大会に、K-1代表として乗り込んだが、陽勇に敗北。宮田プロデューサーの「休んでいるよりは」という気持ちから、今回は間を置かずに再起戦を行なうことになった。一方の児玉は今年の1.28「Krush.157」で元Krushライト級王者の瓦田脩二にKO勝利。怪我により試合の間が空いたが、2連勝を狙ってのリングだ。
フォトセッションで先に突っかかっていったのは児玉の方で、会見でも「さっさとKrushのタイトルとかやりたかったんですけど、また1人邪魔な奴が来たから、こいつをぶっ倒してベルトを獲りに行こうかなと思っています」と挑発的なコメント。「こうやって若い俺らが盛り上げて、全部持ってってやろうかなと思ってます」という意図で突っかかっていたようだが、龍華に対して「倒せる、俺のこと? でも、厳しい。危機感持った方が良いよ」と、挑発的な態度を最後まで崩さなかった。
一方の龍華も負けていない。児玉が「俺は1RでこいつをKOします」と宣言すると、「できる? 頑張って。自分も1R3分以内で倒します」とKO宣言。お互いが1RでKO勝利をすると宣言したが、もしできなかった場合は、お互いに食事を奢るという約束までしていた。果たして、約束通りKO勝利を飾るのはどちらか?
そして、最後に会見に登場したのは元Krushフェザー級王者の森坂陸だ。森坂は昨年の3.25「Krush.147」で玖村修平を破って第7代Krushフェザー級王者に輝いたが、初防衛戦となった10.21「Krush.154」で篠塚辰樹に敗北して王座陥落。その後、SNS上で引退宣言をしていたが、宮田プロデューサーがジムサイドと話をしたところ、最後にエキシビションではなくフェザー級の公式戦で勝負をしてから現役を終えたいということで、今回ラストマッチを行なうことになったという。
会見に出席した森坂だが、「前回の試合で負けてから、ベルトを防衛できなかったら辞めるって決めてまして、前回全力で戦った結果負けてしまって、本当はその場でリングを降りようと思ってたんですけど、応援してくださる皆さんがもうちょっと見たいって言ってくれる人がほとんどで、そこで悩んで最終的に出した結論がこの形ですね。ラスト1試合やって、戦う姿、僕が全力で戦う姿を焼き付けて、リングを降りようかなと決意して、この形になりました」と、ラストマッチを行なうことを決意した経緯をコメント。まだ対戦相手は決まっておらず、「全力で自分を出せて、盛り上がる試合ができれば誰でもいいなと思っています。戦いたい人がいたら、名乗りを上げてくれたら嬉しいなって感じです」というのが森坂の希望だ。
宮田プロデューサーは既に選考に入っているとのことだが、「Krushのイメージとしては若い選手とやるのがいいのかなと。新鋭が胸を借りるのがいいというかアタックするのがいいし、辞めていくような奴はしっかりとかたをつけるのか、逆に森坂選手がキャリアで上回って強さを見せるのか? ドンドンドンドン名乗りを上げてほしいなと思っています」と、これからトップ戦線に上がってきそうな新鋭の選手との引退試合を、森坂に提案したという。
森坂も「引退試合で僕だけじゃなくて、全体に意味がある試合になればいいなと思って、世代交代みたいなコンセプトで新人を迎え撃つのが僕の役割じゃないかなと考えていたので、宮田さんも同じようなことを考えてくださったので、それでお願いしますということで。Xとかで是非返事ください。お待ちしています」と、気持ちは同じ。これからのKrush、そしてK-1 GROUPの未来を担う若い選手を迎え撃ちたいとのことで、SNSでも最後の対戦相手の募集をするという。また、引退試合とはいえ、力が衰えて引退するわけでもない。「全力を出せば、もちろんその時(ベルト奪取時)よりも強いと思うので、熱い試合は絶対できると思うので、しっかり研ぎ澄まさせて、何がなんでも万全なコンディションを作って勝ちにいきます。最強の姿を見せて、そのまま降りたいと思いますね」と、格闘家人生の最後は有終の美を飾る腹づもりのようだ。
その他、Krushライト級ワンマッチの鈴木翔也vsSEIYA、Krushバンタム級ワンマッチの林佑哉vs白幡太陽、Krushフェザー級ワンマッチの寺島想vs関口功誠の本戦が3試合。さらに元Krushフェザー級王者の玖村修平が、対戦相手は未定ながら参戦することも発表された。これにプレリミナリーファイトとして、Krushバンタム級の早田吏喜vs瀧山悠斗、同じくKrushバンタム級の小島卓也vs雨宮空、Krushフライ級の元太郎vs海凪の3試合も決定。既に発表済みの初代Krushミドル級王座決定トーナメントの決勝戦の神保克哉vsブハリ亜輝留を加え、「Krush.162」は本戦9試合、プレリミナリーファイト3試合の全12試合が行なわれる。