4月17日(水)、都内にて、5.26(日)「Krush.161」後楽園ホール大会の第1弾カード発表会見が行なわれた。
今大会では、第4代Krushスーパー・ウェルター級王者のジョーダン・ピケオーが、昨年5月に返上し、空位となっていた同王座の第5代王座決定トーナメントを行なうことが決定。トーナメントは4選手参加で、今大会で準決勝を行ない、8.18(日)「Krush.164」後楽園ホール大会で、勝ち上がった2選手により決勝戦を行なう。
準決勝のカードは森田奈男樹vs小田尋久、藤村大輔vs璃久に決定。会見には4選手が揃って出席し、トーナメントへの意気込みを述べた。まず、なぜこの時期に王座決定トーナメントをやることになったかについて、会見に同席した宮田充Krushプロデューサーによると、3月20日に開催されたK-1代々木大会の結果が大きく関わっているという。同大会で開催された「-70kg世界最強決定トーナメント」の開幕戦では、参戦した和島大海、中島玲、璃久の日本人選手が全員敗退。また、世界的に見ても選手層が一番厚い70kgクラスは、海外からのオファーも多いこともあり、「K-1 GROUPとして、これだという選手を育成していく。空位にしておくのではなくて、Krushのトップはこの選手だとガンガンせり出していく必要がある」と考えたという。そこで4月に入ってからの企画だったものの、「二つ返事でスタンバイしてくれた」というこの4選手により、王座決定トーナメントを開催する運びとなったようだ。
まず昨年からKrushに参戦し2戦して2勝の小田は、「自分が一番若くて乗りに乗っている選手ですので、Krushのトーナメントで優勝して、ベルトを巻きたいと思います」と意気込みをコメント。「マッスル」と呼ばれる程の筋トレ好きとして知られているが、準決勝の相手の森田についても、「勝っている相手がそこまで強くないかなと思っていて、僕はマッスルなんで自分の筋肉とパワーとフィジカルで全然勝っていけるかなと思っています」と自信を見せた。他の3人に負けないものも、そして気持ち以外でトーナメントを勝ち抜くのに必要なものを聞かれても、「マッスル」とキッパリ。自慢の筋肉でチャンピオンになったら、「Krushの代表としてK-1に挑んで、それからK-1の代表として世界に挑んで、ドンドン上を目指して、最後に70kgの頂点に行けるようにっていうのが目標です」と大きな野望を述べていた。
対する森田は2021年よりK-1 GROUPに参戦し、当初は3連続KOを含む4連勝と破竹の勢いを見せていたが、ここ4戦は2勝2敗と黒星と白星が交互に続いている状況だ。このトーナメントに参戦する璃久にも、昨年の7.22「Krush.151」でKO負けしていた。しかし、「このトーナメントを待ち望んでいたというか、このベルトに対する想いは強いので、しっかり勝ってチャンピオンになりたいと思います」と、王座戴冠に向けて強い気持ちを見せる森田。対戦相手の小田も森田と同じく空手出身。しかし、「空手でも自分の方が実績を残していて経験も差があるんで、しっかり自分の良さを試合に出して勝ちたいと思います」と自信をのぞかせていた。決勝では「リベンジしたいという意味でも璃久選手ですね」と、璃久を指名。また、「世界の外国人選手と闘える選手がチャンピオンになるべき」と語り、ベルト奪取に向けて、改めて闘志を燃やしていた。
もう一方の山にエントリーされた璃久だが、今回の参戦選手の中で唯一、3.20K-1代々木大会での世界最強決定トーナメントの開幕戦に参戦。デング・シルバに左目の上を切られて出血したためにTKO負けを喫しているが、「ああやって早くレフェリーさんとかも止めてくれたんで、今日こうやってKrushのベルトに繋がったんで、僕が勝ってベルトを巻くんで、応援お願いします」と気持ちを切り替えている様子だ。相手の藤村に関しては、「イケオジって感じなんですよね。勝ったら顔を交換してほしい。顔を傷つけへんように倒したいなと思います」と語ったりと、おちゃらけたところも見せていたが、チャンピオンになってからの目標は明確だ。まず1つは本人が「あれからブラジルの人を見たら傷が疼く」と言うように、デング・シルバへのリベンジ。そしてもう1つは、アキレス腱断裂のために世界最強決定トーナメントを欠場、璃久にチャンスを回してくれたピケオーとの対戦だ。「何か縁があるのかなと思っているんで、とりあえずデング・シルバ選手に優勝してもらって、ピケオー選手ともやって、ハッピーエンドで終わりたいですね」と、自分なりにチャンピオンになってからの道筋を見据えているようだった。
この璃久を相手に準決勝を戦う藤村だが、K-1 GROUPに参戦して9年経つベテランだ。昨年、Bigbangのスーパーウェルター級王者になったものの、このK-1 GROUPでタイトルに絡むのは初めてのこと。そのため、「遠回りしてしまったんですけど、やっと来たチャンス。絶対に落とせないという意気込みでやっていきます」と、悲壮な覚悟を見せる。「経験と身長」では、他の若い3選手に負けないと自信を見せる藤村。Bigbangでベルトを獲ったことは、「選手としての責任感とか、練習の向き合い方とか、そういったところはちゃんともう一段階意識するようになりました」と自身の成長にも繋がっているようで、「どの選手もフィジカルもパワー、スピードも全部あるし、1周回って気持ちになりますね」と、歴戦の中で培ってきた気持ちで、悲願の王座戴冠に向けて勝負を懸ける腹づもりだ。
この選手たちのコメントを聞いていた宮田プロデューサーは、「もちろんコンディションありきだし、試合内容ありきだけど」と断りを入れつつ、大阪在住の璃久と小田がチャンピオンになった場合は、10.5K-1大阪大会において、「スーパー・ウェルター級のワンマッチの枠を空けておいて、そこで試合をしてもらうのも面白い流れ」と、トーナメント以降の構想も頭に描いている様子。森田と藤村がチャンピオンになった場合も、海外の大会への出場や12.14K-1代々木大会へのブッキングも考えているようで、この集まった4選手に対する期待は大きい。「70kgは非常にチャンスの多い階級。小さな勝ちにこだわることなく、ここで自分が輝いて、Krushで押しも押されぬメインイベンターになると。その8月の向こう側には大きな戦いに臨んでいくという意気込みで、4選手には戦ってほしい」と発破をかけていた。