1月10日（水）都内にて、2024年2月24日（土）東京・後楽園ホール「Krush.158」のカード発表記者会見が行われた。
Krushライト級ワンマッチとして、大岩龍矢vs弘輝というカードが決定。同日には同じライト級で里見柚己vs伊藤健人のタイトルマッチが組まれているが、宮田充プロデューサーによると「どうしてもこのカードは同じ日に組みたいということで、双方の陣営にけっこう熱心に話をさせてもらって決まったカード」とのこと。「次の挑戦者を決めるにふさわしい戦いになるのかなと思ってる」との見解を示した。
大岩は12月9日のK-1大阪大会で篠原悠人にKO勝利。Krushには2021年3月以来、3年ぶりの参戦となる。一方の弘輝は昨年9月の後楽園大会に久々に出場し、REITO BRAVELYに3RKO勝利を飾っている。
この試合への意気込みを、弘輝は「ライト級タイトルマッチは、里見君がKOされてのリマッチなんで正直、誰も見たくないと思うんですよ。だから僕はあんまり興味なくて、大岩くんとやるのが楽しみです」、大岩は「最初オファーが来た時に、『また宮田さん何かやったな』と思って、何でここで（Krushで）試合が組まれるのかなって率直に思ったんですけど、ライト級ではこの前がまだ1戦目ですし、Krushのベルトは3回ぐらい挑戦してますけど獲れてないんで、しっかりKrushのリングに1回上がって、サクッと勝ってベルト獲りたいなと思ってます」とコメント。
この大岩のコメントに弘輝は「Krushのベルトが欲しいんですか？」とすかさずツッコミ。大岩が「いや、Krushはもちろん欲しいけど、K-1も欲しいし、全部欲しいっすね」と答えると弘輝は「Krush出るのがイヤなんすか？」と畳みかける。大岩は「何でここで俺が弘輝くんとやんなきゃいけないのかなって、率直に思っただけ。俺はK-1で勝ってるし、（弘輝は）篠原に負けてるじゃん」と返答。
これに弘輝が「でもさ、俺、客観的に見てて、（大岩は）すごいいろんなチャンスもらってるし、ラッキーだと思う。タイトルマッチできるかどうかはまた別の話だけど、Krushで一番オモロい試合しましょうよ。せっかくなんで」と返すと、大岩は「弘輝くんとだったら、Krushのライト級で一番面白い試合できるんじゃないかなっていうのは率直に思ったし、別に弘輝君のことは嫌いじゃないし、気持ちも強いし、メチャクチャいい打ち合いができるかなと思ったし、楽しみです僕も」と応じた。
ここで宮田プロデューサーが、改めてマッチメイクの意図を説明。「Krushのチャンピオンになったら、次はKｰ1の前座試合でワンマッチをという流れじゃなくて、後楽園を逆に年間3回でも4回でも後楽園フルハウスにしてくれるようなKrushチャンピオンになってほしいし、里見柚己と伊藤健人の2人も、このカードが発表されたのを見て、また引き締まるんじゃないかなと」。
質疑応答で、オファーを受けた決め手を問われた大岩は「率直に弘輝選手との試合は楽しいかなというのが一番で、あとはベルトを獲るために、まだライト級に上がって一発目で勝っただけなので、そこで存在をしっかり示して、順番があるのかなと、また宮田さんの考えもあるのかなといろいろ考えた上で」と回答。一方の弘輝はオファーを受けて「すぐやりたいって言いました。俺と大岩君の試合って、めっちゃ面白そうじゃないですか。ファン目線で見て、何か楽しそうやなと。ベルトはもちろん欲しいですけど、別にそのためじゃなくて、普通に大岩君と試合したかったです」とコメント。
会見への登壇直前の2ショットでは、大岩のトレードマークの鎖を気にしていた弘輝。「鉄なんかな」と思ったそうで、「コーナンで売ってそう」と言うと、大岩は実際、コーナンで購入したとのこと。弘輝は「何メーターに切ってくださいって言うんすか」と聞き、大岩が「首に合う感じで切ってくださいって言って切ってもらった」と答えると、「クソダサい」と一刀両断。その後しばらく、鎖に関する問答が続いた。
「ここは相手に負けたくないという部分は」との質問には、弘輝は「全部ですけど、打ち合いは負けたくないですよね」と答えると、大岩は「自分も全部すね。打ち合いでも負けたくないし、ライト級に階級を上げたけど、フィジカルで負けたくないなと」と応じた。
両者とも打ち合いを望んでいるようだが、弘輝は「よく思うんですけど、バンタム級とか、うまい子が多いじゃないですか。ピョコピョコ跳ねて、リングいっぱい使って。そういうのはよそでやれと思うんすよね。昔大好きだった頃のKrushはメチャクチャ打ち合ってたんで、それがKrushなんちゃうかなと思って。だから僕は大岩君と打ち合いたいというか、Krushの中では打ち合いたいですね」とコメント。大岩も「打ち合うしかないと思ってます」と話し、やはり打ち合いは避けられそうにない。
ベルトへの思いについて問われると、弘輝は「里見君も伊藤君も両方やってるんで、ベルトは欲しいなと思うし近いなと思ってますけど、今回に限っては大岩君にだけ注目してるんで、集中して勝ちたいなと思ってます」。大岩は「本当にKrushのベルトはずっと取れなかったベルトだし、年齢的にも31歳ですし、最後の挑戦だと思ってるんで、何が何でも、一戦一戦落とせないんで、ここで弘輝選手にしっかり勝って、まずしっかりタイトルマッチに絡んで、ベルトを獲りたいと思っています」と答えた。
このところ大岩は3試合中2試合でKO勝ち。その理由については「最近のKOって、62キロと62.5キロの試合なんですよ。今まで無理して減量したなって。やっぱり『武尊のベルトを取る』っていうことに意識を持ち過ぎてたんですけど、今は階級を上げて、毎日無理なく楽しく練習もできてるしコンディションもよくて、アップの時から『何か違うな』っていうのは本当に感じるんで、そこが本当にKOに繋がってるなって思ってます」と語った。
ここで質疑応答が終了したが、弘輝がマイクを取り、宮田プロデューサーに「今年、大阪でKrushやりますよね？ 勝ったらそこでタイトルマッチやらせてください」と詰め寄ると、大岩も「俺が勝ったら名古屋で」と、左右からプレッシャーをかける形に。
宮田プロデューサーは「すぐには決められない……」と困った表情だったが、最終的には「じゃあ、そういうことにしましょう！」と発言。最終決定かどうかは微妙だが、この試合は事実上の「挑戦者決定戦＆タイトルマッチ地元開催権争奪マッチ」となる可能性も見えてきた。
そういった側面もありながら、大岩と弘輝の激突は単純に試合内容が激しくなって盛り上がる可能性が高い。後楽園ホールが燃え上がる激闘に期待！
続いてはKrushバンタム級、齊藤龍之介vs乙津陸の一戦。初参戦の乙津はKNOCK OUT-REDバンタム級現役王者で11戦7勝（4KO）2敗という戦績の19歳。KNOCK OUT以外のリングでの試合はこれが初めてとなる。一方の齊藤は昨年からK-1 GROUPに参戦し、3戦全勝の快進撃。6月のK-1では大久保琉唯との新鋭対決を制した。こちらも18歳で、10代同士の対抗戦となった。
試合への意気込みについて乙津は「KNOCK OUTから殴り込みに来ました。初参戦ってことなんで、今年一発目でもありますし、カマしていこうと思います」と語ると、齊藤は「他団体のチャンピオンと試合を組んでいただき、ありがとうございます。この試合は自分にとってはメリットしかないので、しっかりここ勝って、次に繋げられればなと思います」と応えた。
相手選手の印象は、「高身長で、すごくアグレッシブでいい選手だなと思いました」（乙津）、「KNOCK OUTのRED（ヒジあり）のチャンピオンなんですけど、首相撲とかヒジよりパンチや蹴りの打撃が強い選手だと思うので、Krush向きの選手だなって思います」（齊藤）とのこと。
乙津は団体の看板を背負っての殴り込みにあたり、「KNOCK OUTがちょっとナメられてるところがあるんで、汚名返上じゃないですけど、ここでしっかり勝って、Krushのトップを狙っていこうかなと思ってます」という心情。「ナメられている」と感じるのは「同階級の心直が2試合連続KO負けして、『KNOCK OUTチャンピオンこんなもんか』みたいなことをけっこうコメント欄で見た。本当はチャンピオンは俺なので、そこをしっかり証明していこうかなと思います」と説明した。
齊藤は他団体王者との対戦について、「他団体のただの選手じゃなくてチャンピオンなので、いきなり他団体のチャンピオンと戦えて、乙津選手は心直選手にもタイトルマッチで勝ってる選手なので、普通に美味しいかなという感じです。KNOCK OUTの選手はこれまで特に意識してなかったですけど、ただ乙津選手はアマチュアの頃から知ってる選手で、K-1甲子園のトーナメントも一緒の階級で確か出てたと思うので、意識はしてなかったですけど、知ってはいました」とコメント。
乙津はKrushバンタム級について、「Krushバンタム級はけっこう熱いので、意識してました。他の選手を見てると、倒せない選手だったりもいるので、ちょっとここで一発、倒せるバンタム級というところを見せていこうかなって感じです。何で倒すとかは決まってないですけど、もちろんKOで狙っていこうと思います」と意気込む。
対する齊藤は「自分は遠い距離が得意で、乙津選手は近い距離でパンチで戦うのが得意だと思うんですけど、近い距離で戦っても、全然自分が勝てると思ってます」と自信を示した。
自分が勝っているところについては、乙津が「身長は負けてますけど、パワーだったりフィジカルだったり」といえば、齊藤は「蹴りですね。パンチで入ってこれないような距離で蹴りをバンバン打って完封して、最後はKOしたいです」と応じた。
乙津は継続参戦にも意欲を見せ、「池田選手を狙っていきたい」と、王座も意識。若き新鋭同士の対抗戦、勝利はどちらの手に？
もう一戦はKrushライト級、SEIYA vs三宅祐弥。SEIYAは昨年5月の後楽園で堀井翼に2RKO勝利。その試合での負傷で9ヵ月ぶりの試合となった。三宅は10月にSOULに判定勝利。12月には大阪で「NARIAGARI」に出場している。
三宅は「これからバリバリ仕上げてKO勝ちできるように。10月のKrushも12月のNARIAGARIもちょっとしょっぱい試合してしまったんで、今回はパッとKOで勝てるように」と意気込む。SEIYAは「ちょっと期間は空いてしまいましたけど、やることはやってきたんで、また成長したところを見せて、メインのカードに劣らないような熱い試合をして盛り上げたいと思います」と語った。
相手の印象を問われると、三宅は「10月の後楽園で試合が終わった後、SEIYA選手から『いつかはライト級で当たると思うんで、またよろしくお願いします』って声かけてもらっとったんで、まさか年明け一発目にSEIYA選手と戦うとは思わんかったんで、ちょっと楽しみであって、なんか、嬉しかったっすね。選手としての印象は、堀井翼選手に逆転でヒザを返してKOしてたんで、カッコいい勝ち方してましたね」と、エピソードを交えて語る。SEIYAは「中間距離はいろんな多彩な蹴りも使えますし、近い距離では打ち合いも強くて、好戦的でアグレッシブでいい選手だと思ってます」と答えた。
勝ち方については、三宅が「どの距離で戦ったらいいかがまだあんまりわかってなくて、この期間で対策を練るか、試合の流れで流れで決めたいなと思ってます」といえば、SEIYAも「こういう勝ち方というのはまだ定まってないですけど、これからもう少し過去の映像とかを見させてもらって、あとは会長の指示のもとで、しっかり対策を練っていきたいと思ってます」と、お互いに具体的にはこれからといった様子。
三宅はNARIAGARIでの経験について「Krushって、基本的に東京じゃないですか。だから大阪で試合できて、お客さんもいっぱい集められたというのは楽しかったし、東京でも同じことができるように、僕も頑張ってやっていきたいなと思いました」と回答。
SEIYAはPOWER OF DREAMに移籍して2戦目。移籍してからの変化について問われると、「関西から本当に強くなるために出てきて、自分の弱さと向き合うためにあえて厳しい環境を選んで、今も毎日のようにしっかり取り組んできているので、成長はできてると思います。特にパンチ力と、精神面ですかね。気持ちでは負けないように、残りの期間、しっかり仕上げていきたいと思います」と答えた。
質疑応答が終わろうとすると、三宅は「プレゼントを持ってきた」と、自らが代表となって12月にオープンしたHacker GYMのTシャツ（自らのサイン入り）を贈呈。「これを着て練習してください」と手渡すと、SEIYAは戸惑いつつも受け取っていた。
なおもう1試合の新規カードとして、松本篤人vs川島康佑のKrushスーパー・ライト級の一戦が発表された。
