松倉信太郎が“42秒”に感じた王者ハッサンの強さ「レベルが高い。でも“ワンマッチだったら”の答えを知りたい」=「K-1 ReBIRTH.2~」12.9大阪
松倉は、6月の初代ミドル級王座決定トーナメント一回戦でヴィニシウス・ディオニツィオをKOし、準決勝で強豪ムスタファ・ハイダからダウンを奪って勝利。決勝ではハッサン・トイの左フックでKO負けを喫したものの、堂々の戦いぶりで準優勝を果たした。
対する王者のハッサンは、6月K-1横浜武道館大会で約3年半ぶりのK-1参戦。ミドル級に階級を上げて初代王座決定トーナメントに出場し、ダニロ・ザノリニ、リー・ホイ、松倉信太郎を倒して初代王座に就いた。
「そうですね、一回戦の相手はタフなイメージがあったんでもっと手こずると思っていました。実際に簡単ではなかったんですが、厳しい試合になると思っていて。準決勝の相手も僕の中で大きい存在だったんですが、そこで勝てて流れが来ているなと思っていました」
――優勝が目前でした。
「でも、準決勝の相手に重きを置いていたので、どこかで気が抜けていたのかなと。もちろん、優勝することしか考えていなかったつもりでしたが、試合後、セコンドに少し気が緩んでいたと言われました」
――“よし、行ける”という気持ちが、少しずつ油断に変わっていったと。
「自分ではそんなつもりはなかったんですが、周りはそれを感じていたようです。トーナメントは集中力勝負なので、そこも含めて、まだ僕には足りなかったですね。逆にハッサン選手は、集中力を切らさずに戦ってさすがだなと思いました」
――ハッサン選手との決勝戦は、今、振り返ってみてどんな試合でしたか?
「短い時間でしたが、レベルが高いなということを覚えています」
――42秒の攻防の中で、それを体感したわけですか。
「はい。じつは決勝前、グローブを装着する時にハッサンも近くにいたんですけど、大きいなと思いました。それで試合が始まってみて、普通じゃ届かないところからパンチが飛んできて。しかも体が開いて大振りのパンチを打ってくるわけではなく、腋を締めて内側からコンパクトにガードの隙間から打ってくるパンチで。トーナメントのダメージの蓄積があったからかもしれませんが、一つひとつのパンチの質が高く、脳を揺らしてくるような感じで、これはヤバいなと思っていました」
――ハッサン選手のレベルの高さを感じたわけですね。
「パンチが見えないし、これは効くなと。僕がパンチを打つと、ヘッドスリップしてかわしてきて。あとはハッサンがサウスポーに構えをチェンジしてきたので、定石通りに右ミドルを蹴ったら、それをカットしてすぐに返して来たんです。自分から蹴ったのではなく、蹴らされているわと思いました」
「再戦するので、あまり詳しいことは話せませんけど、後半に勝負しようとは思っていました。真っ向勝負でいくと、どうしてもフィジカルが強い相手には厳しいので、削っていって後半にとは思っていましたが、その前に終わってしまいました」
――その結果は、トーナメントだからですか?それともハッサン選手が強かった?
「僕は両方だと思っていて、3試合目にあの集中力を出してきたハッサン選手の強さでもあり、レベルが高く完敗でした。でも、ワンマッチだったらどうなっていたのかという思いが、いまだに僕の中にあるし、答えが知りたいですね」
――今回のダイレクトリマッチ、しかもタイトルマッチの話を聞いて、どんな思いだったのでしょうか?
「どこまで話していいのか分からないけど、自分からやらせてくださいとお願いしました。生意気だなと思われるかもしれませんが、僕は神保君とともにこの階級を切り拓いてきたという自負があるし、生意気だなと思われるかもしれませんが、そこは階級を上げてトーナメントに挑んできたハッサンとは意識が違うなと思っています」
「トーナメントの時と変わらずに、自信しかないです。簡単な試合にならないことは自分が一番分かっていますし、このままの練習では勝てないことも分かります。年齢的にも次があるとは正直思えないし、また列の後ろに並ぶこともできない。その意味では、重たい試合だと自覚しています。ですが、“ワンマッチだったら”という答えを知りたいのも正直なところです」
――“覚悟”ができているんですね。
「“覚悟”しかありません。ここまで言ってきて、これで一発もらって負けて平気で戻って来られる世界だとも思っていませんので。選手としても、もしも同じ相手に2回連続で負けたら厳しいことは分かっています。それでも、最後まで自分を信じて戦います。残りの時間でどこまで自分を高められるか分かりませんが、恵まれた環境の中、仲間とともに強くなるための最善を尽くし全力で戦います!」