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「K-1 WORLD GP」6.3(土)横浜<特別コラム>金子晃大・与座優貴の2大王者が登場!王者のスーパーファイトから見えてくる戦いの道とは?

 6月3日(土)横浜武道館で開催される「AZABU PRESENTS K-1 WORLD GP 2023~初代ミドル級王座決定トーナメント~」。今大会に向けた特別コラムを配信します。今回は金子晃大&与座優貴編を公開!

 2年ぶりの開催となったK-1横浜武道館大会ではK-1チャンピオンが出場するスーパーファイトが3試合行われる。その中でトリを飾るのがスーパー・バンタム級王者・金子晃大だ。

 金子は現在3連勝中で、3月「K'FESTA.6」では難敵コンペット・シットサラワットスアを下して王座防衛も果たした。だが戦前からKOを宣言していたこともあり、判定での勝利に試合後のマイクでは「自分がまだまだだと分かった」と、反省の言葉が漏れた。

 このマイクでも言及していたが、一つ前の試合では玖村将史がRISEとの対抗戦に登場。昨年6月の「THE MATCH 2022」で金子を下した鈴木真彦からダウンを奪って勝利している。金子への次の挑戦者は玖村と目されているだけに、その玖村に勝利したコンペットをKOして実力を見せつけ、3度目の対戦に弾みをつけたかったところだったが、その意味でも金子には反省点が残った。

 今回の試合も直接の対戦相手はトルコから初来日のエムレ・カラジャだが、その陰には常に玖村の姿がチラつく。玖村は「THE MATCH」での志朗戦、そして前述の鈴木戦とRISEとの対抗戦に連勝して名を上げているだけに、万全な勝ち方を見せた上で玖村の挑戦を迎え撃ちたいことだろう。

 対抗戦が実現し、過去には考えられなかった対戦が現実となる状況で、金子、玖村ともに意識するのは「55kg日本最強」の座だ。現在、その座にいるか、少なくとも最も近いところにいるのは、上述したような戦績から玖村だと考えているファンが多いことだろう。一方で、玖村に勝ってトーナメントを制し、K-1王座を保持しているのは金子である。ここにおいては、言わば「ねじれ現象」が生じている。それも金子には面白くないはず。

 そう考えれば、今の金子にとっての「理想の道筋」が見えてくる。まず今回、エムレ・カラジャを満足いく形で倒す。そして玖村を迎えて防衛戦を行い、誰にも文句を言わせない形で勝つ。そうすれば、2人のライバルストーリーにも終止符が打てる。

 その後に、金子が改めて目指すのは「世界最強」の座だろう。そもそも「日本最強」までにこれほど時間をかける気もなかったはずだ。練習によって体が大きくなり、減量が厳しくなっているということもあり、あるいは階級を上げて新たなチャレンジに臨む可能性もある。それはそれで楽しみが広がる……が、それもこれも全ては目の前の試合に勝ってから。まずは今回、エムレ・カラジャをどう料理するかを見届けたい。

 K-1チャンピオンのスーパーファイトは他に2試合。バンタム級の黒田に関してはK-1中村拓己プロデューサーによるバンタム級解説動画(歴史編=、相関図編=)を見ていただくとして、戴冠後初戦に臨むのがライト級の与座優貴だ。

 与座は他団体で勝ち星を重ねた後、K-1 GROUPでは5戦目、K-1では4戦目というスピードでタイトルまで上り詰めたのはご存じの通り。一昨年12月には蓮實光を衝撃のKOで制し、K-1初参戦となる2戦目で王者・朝久泰央にノンタイトルながら勝利。朝久の負傷などもあって2戦を挟むこととなったが、今年3月「K'FESTA.6」で王者に再び勝利し、子供の頃からの憧れだったというK-1のベルトを掴んだ。

 与座は待望のリングに足を踏み入れてから1年あまりで、追う立場から追われる立場になっただけに、これからは戦いの様相がかなり変わってくることだろう。特にK-1のリングで「追われる」ということは、その対象は日本国内にとどまらない。「K-1王座」は世界で通用する称号だけに、挑戦者は世界中からやってくる。

 与座がこれから歩もうとしている道には偉大なる先達がいる。与座が強く憧れ、今は同じKRESTでともに練習に励む“兄貴分”、野杁正明だ。「世界最強」の座だけを目指してストイックに戦いを重ね、その強さを示し続けてきた野杁は、まさに与座にとって道標と言っていい存在だ。

 今回はノンタイトルのスーパーファイトだが、与座が迎撃するのはアイルランドから初来日のアーロン・クラーク。パーマヘアにヒゲ面はかつて新日本プロレスで古舘伊知郎アナを襲撃して物議を醸したデビッド・シュルツを彷彿とさせるが、「The Bounty Hunter(賞金稼ぎ)」の異名を持ちトリッキーなファイトスタイルを身上としているという。このクラークのような未知のファイターたちが、これからも次々と名乗りを上げてくるだろう。

 与座はこれまで22戦のプロキャリアで、外国人との戦いは2戦のみ。だが空手ではユース時代から国際大会、世界大会優勝の実績もあり、「対世界」の経験は豊富だ。またタイトルマッチに備えて武者修行に出かけたオランダでは自分より大きな外国人たちと対等以上に渡り合い、必殺の「与座キック」は初日で禁止技になったほどの大暴れを見せたという。

 これからの与座は、K-1のリングで海外強豪たちをバッタバッタとなぎ倒していくのも面白いし、逆に海外を渡り歩いて有名無名問わずK-1ベルトを防衛していくというのも夢がある。いわば令和版「空手バカ一代」、いや、「K-1バカ一代」を現実にしてくれそうな期待が、与座にはある。

 そのオープニングとして、アイルランドからやってきた賞金稼ぎをどんな目に遭わせるのか? そこに、王者となった与座の覚悟も見えてくることだろう。

 K-1王者の座は、頂点ではある。だが王者が求めさえすれば、その先にも戦いのフィールドはどんどん広がっていく。そしてK-1王者になるような人間は、それを求めずにはいられないような者たちばかりだ。今大会のスーパーファイトからにじみ出る、王者たちの意欲を見逃すな!
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