「Krush.144」12.18(日)後楽園 中村拓己K-1プロデューサーが大会を総括「タイトルマッチを含めてベルトを明確に目標にする・意識して戦った選手の違いを感じた大会だった」
「今日の大会はメインイベントとセミファイナルの試合が印象に残りましたね。メインイベントのタイトルマッチ(王者・中島千博vs挑戦者・西元也史)は、王者の中島選手が1月に初めてタイトルを獲って、6月には『THE MATCH 2022』にも出て、激動の1年だったと思います。特に『THE MATCH 2022』で負けてから、怪我も含めて悔しい時間が多かったと思うし、その1年の最後に防衛戦というプレッシャーがかかる試合で勝てたのは中島選手の成長、今までにない底力を感じました。
中島選手は空手のベースはありますが、比較的キャリアが浅い中でタイトルをとって、一気に大舞台を経験したパターンで。その経験値が強さにつながったかなと思います。西元選手も連勝中で調子がいいなかでの挑戦でしたが、それを超える中島選手の上手さも含めた強さが見えた試合でした。ベルトを獲ってチャンピオンとして洗練される選手がいますが、中島選手はそのタイプだと思います。
山本直樹vs野田哲司の一戦も、Krursらしいお互い序盤から前に出て攻防が続く展開のなかで、山本選手がKO勝利しました。野田選手のファイトスタイルが変わって、アグレッシブにいったからこその結果であり、序盤は野田選手ペースかなというなかで、山本選手が盛り返して倒して勝ったのは山本選手の意地もあったと思います。タイトルマッチではないですがベルトを見据えた選手のクオリティの高さを感じた試合でした。
森坂陸vs稲垣澪も同じだったかな、と。お互いタイトルに挑戦できるところにいる選手同士の試合でしたが、勝ちに徹した試合ではなく、どちらもアグレッシブに攻めて、最後は森坂選手がパンチを効かせて勝った試合でした。タイトルマッチも含めて、山本vs野田・森坂vs稲垣の3試合はベルトを明確に目標にする・意識して戦った選手の違いを感じた大会でした。
K-1 JAPAN GROUPとしては今年から本格的にK-1に外国人選手を招聘するようになり、K-1に出る日本人選手の枠は限られてくるし、KrushからK-1に出るためにも熾烈な生き残り戦が繰り広げられると思います。どこを目指して、どんな試合を見せるのか。そこまで意識して戦う選手じゃないと上に行くのは難しくなると思います。来年はよりシビアな戦いになっていくと思います。
またKrushとして今年は新しいチャンピオンが多く生まれた一年でした。K-1では『#K1NEXT』というフレーズを使って大会を盛り上げてきましたが、Krushも新しい世代が台頭した大会でした。その選手たちと共にKrushもKrushとして盛り上げていきたいです。
(中島がレオナの持つK-1王座にたどり着くには何が必要?)正直、今日の勝ち方と内容ですぐvsレオナにはならないと思います。それこそ武尊vsレオナを例に出すなら、レオナ選手が武尊選手にたどり着く過程で、レオナ選手は『武尊以外に相手がいないだろう』という結果と内容を見せたから実現した一戦です。中島選手もそういう試合を見せていけばレオナ選手に近づくと思います。Krushで防衛戦をやるなら誰とやるのか。K-1でワンマッチをやるなら誰とやるのか。そういう試合のなかでvsレオナ戦の機運を高められれば、レオナ戦が見えてくると思います
(第1試合・第2試合のフライ級について)僕はK-1ルールはスピードと手数で魅せるという意味では軽量級向きのルールだと思っていて、今回もそこは見せてくれたと思います。ただもう一方でKO・倒すというところは見せられなかったな、と。スピーディで手数が多い試合のなかでも“倒す”部分を見せてほしかったです。フライ級の良いところも見えた一方で、課題も見えたと思うし、KO・倒す=突き抜けた試合ができれば、もっとフライ級が盛り上がると思います」