谷川聖哉、必勝決意のアジア予選「先輩方が築いたK-1ジャパンを終わらせない」=10.5大阪
谷川聖哉は、空手で輝かしい実績を残し22年8月に元K-1クルーザー級王者K-Jeeから勝利。23年3月はステファン・ラテスクにKO負け。7月はAKIRA Jrから判定勝利を収め、再起戦を飾った。12月はリュウ・ツァーにKO負けし、24年3月に階級をミドル級に落としてKrush初代ミドル級決定トーナメントに出場するもブハリ亜輝留に判定負け。今回は再び階級を上げる。
総合格闘家の秋山成勲がK-1 KOREAから送り込んできた、体重128kgの韓国ヘビー級の怪物。一撃で倒しにいくスタイルではなくムエタイにも精通し、ローからミドルキック、そしてパンチからヒザ蹴りと流れるようなコンビネーションを得意とするテクニシャンタイプだ。24年3月の安藤優介戦では、右のパンチを合わせて1RKO勝ちを収めた。
「狙い通りというか、仮想外国人としてはいい相手かなと思っていました。丁寧に攻撃して隙をつくという作戦で、何も攻撃をもらわずにノーダメージで勝てたことは収穫でした。正直、もう少し時間がかかるかなと思っていましたが、早い回で終わった良かったです」
――では、バックブローは狙い通りだったと。
「はい。バックブローや回転系の技は練習していますので、それを試合で出すことができました。これまで後ろ蹴りや後ろ廻し蹴りを出していましたが、バックブローはなかなか使う機会がなくて」
――空手ではバックブローという技はありませんが、K-1で試合をするようになってから練習していたと。
「たしかにバックブローは空手にありませんが、回転系の技は同じような身体の動きになるので、とくに問題はなかったですね。それこそ75kgに階級を落とした時に、よく練習していた技でした」
――そうだったんですね。ミドル級に階級を落として戦ったことは無駄になってなかったんですね。
「自分の身体と向き合う時間もできて、あの負けが無駄にならないようにしようと思っていました」
――今回のアジア予選が決まっている中でRUI選手との試合がありましたので、集中力の欠如やケガをする可能性もありました。
「なかなか難しい状況で、相手もいい気持ちはしなかったと思います。SNSでも『意味が分からない』という意見も見かけましたし。それを引っくり返すのは派手なKOだと思っていましたが、それができて良かったです」
「ええ。やはり日本人3選手が12月の決勝トーナメントに勝ち上がらないと無差別級は盛り上がらないと思いますので、ここは一致団結してやる時かなと」
――なかなかライバル同士で練習する機会はないですからね。
「ありがたい限りです。でも自分は、これから先も無差別級でやっていくことを決めていますので、相手は日本人ではなく外国人にしたいと思っています」
――そうでしたか。谷川選手は旧K-1の母体となっていた正道会館出身なので、“正統後継者”と呼ばれていますね。そうしたことは意識していますか?
「はい、僕は大阪の正道会館総本部の最後の寮生なんです。K-1ジャパンの先輩方を知っていますし、見えない圧力がかかっていると思います。石井館長からも“K-1は正道会館のものだ”と言われていますので、そこの意識やプライドはありますね」
――K-1で活躍した武蔵さんとかに指導を受けたことは?
「あります。武蔵先輩と一緒に練習をさせていただいたことはありました。もちろん、中迫(剛)先輩や富平(辰文)先輩とも面識はあります」
――それは正統継承者ですね。
「ただ当時と今では状況は違いますので、ここで僕が活躍してもう一度強いK-1の日本人として認めてもらいたい思いは強く持っています」
――K-1への憧れから正道会館の門を叩いたと。
「はい。あの強かった先輩方が築いたK-1ジャパンを終わらせないように、しっかりとアジア予選を勝ち抜いて12月の決勝トーナメントで結果を残したいと思っています」
――今回の対戦相手は、韓国のクォン・ジャンウォン選手に決まりました。練習のテーマとかはありますか?
「集中力と点の攻撃を意識しています。ヘビー級は一発のダメージが命取りになってしまうので、集中力を切らさずに足を使ってピンポイントで当てていくのが理想です。そこは先輩から教わってきた技術があるので、それで勝ちたいと思います」
――K-1の源流となった正道会館出身、それだけでも見る側に気持ちが入ってしまいます。
「今回のアジア予選に出る選手も含めて、自分が一番、勝ちたいという思いが強いです」
――気になる体重は、今どのくらいですか?
「1日9食とって、97kgくらいですね。100kg前後をキープしようと思っています」
――1日9食? サプリメント入れてですか?
「いえ、リアルフードです。新しいフィジカルトレーナーの方と一緒に、75kgのスピードを活かしつつ体重を増やしている感じです。スタミナの不安もないです。130kgの相手の圧力はハンパじゃないので、そこでどうなるかはやってみないと分からないですけど」
――入場曲は、故アンディ・フグさんが試合で使用していたQueenの名曲『We Will Rock You』ですからね。
「トレードマークとなった半袖の道着も意識しています。昔から大ファンでした」
――アンディさんのどこが好きだったんですか?
「決して大きな身長ではないですけど、自分よりも大きい選手を倒してきて。カカト落としとか、フグトルネードとかの必殺技で。じつは、アンディさんの息子も“セイヤ”という僕と同じ名前で、しかも同い年なんです」
――アンディさんの息子と同じ名前で同い年!
「お会いしたことはないんですけど。あと僕、1996年に生まれているんですけど、その年はアンディさんがK-1で初優勝しているんです。すごく縁があるなと」
――天国からアンディさんも応援していますね。
「ここで負けるわけにはいきません!」