マハムード・サッタリ、ドン底からタイトル挑戦へ「みんな私から離れました。リュウに勝つことしか考えていない」=9.29K-1代々木
サッタリは、22年12月のK-1でルーマニアのステファン・ラテスクの強打を浴びて、プロ初黒星。23年9月に復活をかけてK-1 30周年記念無差別級トーナメント・一回戦でクラウディオ・イストラテと対戦するもKO負けとなり、今回の大事なタイトル戦が再起戦となる。サッタリは、リュウがカリミアンをKOした直後にリングへ上がり対戦を要求。これをリュウが受ける形で、今回のタイトルマッチへつながった。
リュウは、昨年9月に開催された「K-130周年記念無差別級トーナメント」に参戦し、一回戦でヴァレンティン・ボルディアヌ、準決勝でアリエル・マチャド、決勝でクラウディオ・イストラテを倒して全試合KO決着で初優勝をはたした。同年12月は谷川聖哉から1Rに右ストレートで勝ちを収め、今年3月のシナ・カリミアン戦もKOし、5連続KO勝ち無敗と無双状態にいる。なお、リュウは12月14日(日)に開催される無差別級トーナメント参戦が決定しており、今回は前哨戦といえる。
「私は2年前ミドル級の選手でしたが、でも日本へ来てクルーザー級で頑張りました。ところがクルーザー級のタイトルマッチを組んでくれなくて。だからリングへ上がって、試合をしてほしいと伝えました」
――今の本来の階級は?
「クルーザー級ですね。無差別級も出ましたが、本当に大変です。みんな計量だと体重が1、2kgオーバーだからダメとかになりますけど、無差別級だと20kg違うとかそんな世界だから、パワーが違います」
――これまでK-1やKrushで、ずっと勝ってきて、22年12月にステファン・ラテスク戦、23年9月にはクラウディオ・イストラテ戦でともにKO負けを喫しました。何が変わりましたか?
「いろいろと変わりました。勝っている時は、周りにみんないるし、スター扱いしてくれました。でも負けてからは、みんな離れていきました。その時はショックで、何をしたらいいのか分からない感じでしたね。何をすればいいのかと……」
――それは辛いですね。
「私は今、日本に住んで4年目になりますが、まだ日本の文化が良く分かりません。日本の人たちに何を話せばいいのか分からない。いろんなチャレンジもあって、日本語も勉強しなければならない。私の息子は1歳10ヶ月で、生活も大変です。それで試合に負けてしまって」
「家族です。私の周りにいるのは、家族だけです。私の妻には、『人生いつも勝てるわけない。負けることもある。でも、1回2回負けたとしても、この子のヒーローになって!』と言われ、頑張ろうと思いました。ファイターを辞めようかと思うこともありましたが、何をしたらいいのか分からなかった」
――今、大切なのは誰ですか?
「1番は家族、2番は家族、3番は家族、全部家族です。家族のためにも、強いところを見せたいです」
――前回の試合の敗因が分かっていれば教えてください。
「もちろん体重差はありました。向こうは30kg近く重かったので。でも、それだけではなく、いろいろな理由があります。コーチはいないし、練習パートナーもいません。チームもありません。あと人生も、なかなかうまく行かなくて何をしたらいいのか分からなかったことが敗因です。あの時のサッタリは、サッタリではなかったです」
――本当の自分がいなかったということですね。
「でも、今は違います。何のために試合をして、何のために練習して、どこに向かっているのかよく考えました。自分の周りは、今、いい人ばかりしかいません」
――勝っている時は、天狗になっていたことがあったのでしょうか。
「それはありません。そうなってはいけないということは学んでいたので、例えチャンピオンになっても、いつものサッタリです」
――リュウ選手については?
「強い選手です。トーナメントで優勝して、その後も勝って。本当にスピードもあって、いい選手だなと思います。今回のタイトルマッチは、いい試合になると思っています」
――自分とリュウ選手と似ている部分はありますか。
「リュウはスピードありますけど、私はもっとスピードあります。そこは負けていません。あとは、体重を増やしてパワーをつけるようにしています。大変でしたが、今は92、93kgまで増やすことができました」
――メンタルが整い、体重が上がりパワーもついた。準備万端ですね。
「少しボクシングに偏ってしまっていたので、そこも修正しました。基本のスタイ
ルは変わりませんが、新しいサッタリが見られると思います」
――最後にベルト獲得への自信は。
「ベルトについては、拘っていません。今は目の前の勝利しか考えていません。リュウに勝つこと。それしか考えていない。次の試合は“ファイヤー”、すごい戦いになりますよ」