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<誰も知らないMAX 7人の物語6>“ザ・モンキーキング”ロマーノ・バグボード「猿のマスクを被るには理由がある」

 7月7日(日)に東京・国立代々木競技場第二体育館で開催の「K-1 WORLD MAX 2024」のK-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント決勝ラウンド進出を決めた、海外強豪の7人(ワイルドカード除く)。一体、どんな選手なのか? 短期連載で開幕戦を振り返りつつ、彼らの素顔を探ってみた(第6回=ロマーノ・バグボード)。
“ザ・モンキーキング”ことオランダのロマーノ・バグボードは、“NEXTブアカーオ”と呼ばれるタナンチャイ・シッソンピーノンから判定勝ちを収めた。入場では猿のマスクを被って派手に現れたが、それには秘密があった。
<決勝トーナメント一回戦組み合わせ>
オウヤン・フェン(中国)vs.ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)
デング・シルバ(ブラジル)vs.ダリル・フェルドンク(オランダ)
ヴィクトル・アキモフ(ロシア)vsロマーノ・バクボード(スリナム)
カスペル・ムシンスキ(ポーランド)vs.ゾーラ・アカピャン(アルメニア)
――MAX世界大会開幕戦は、2週間前の試合オファーにも関わらず強豪のタナンチャイ選手を破りました。
「直前のオファーについては、特に問題だとは感じていなかったよ。人生で一番美しい出来事は、突然に決まるからね。それを受け入れれば、良いことは起きる。でも、試合直前に日本に来て体重がオーバーしたのは自分が悪い。それについては申し訳なく思っているし、ペナルティを受けることになったのは仕方がないことだ」
――直前のオファーで減量は苦しかったのでしょうか。
「それは言い訳にすぎない。でも、日本へ来る時の飛行機では水とキュウリくらいしか口にできなかったんだけど、マイク会長が横で美味しそうに機内食を食べているのを見て我慢していたね。これも試練だと思い、試合に集中していた」
――タナンチャイ戦で得たもの、収穫みたいなことはありましたか。
「あの時は相手の攻撃を待ってから返していこうと思っていたんだけど、待たなくて良いと勉強になったね。自分から攻めて自分の攻撃で終わらせるということだけを意識し、集中していた。自分のタイミングで攻めるということは、非常に勉強になった」
――タナンチャイ戦の対策はできていた?
「あまり準備する時間がなかったので、映像はちょっとは見たけど、それほど練習ができる時間がなかった。でも、自分が予想していたほどの重いキックではなかったのは意外だったね。キックが重いと聞いていたのと、アッパーも強いと聞いていたので、それに合わせる必要があるかなと思っていたんだけど、重いキックが来なくてラッキーだったかな」
――タナンチャイ選手の蹴りが少なかったことを驚く声も多かったようです。
「たしかに、キックが来なかったのは驚いたよ。強いヒザ蹴りやアッパーを待ってからの攻撃を考えていたので、あれは意外だったな。でもキックが来ないため、なかなか自分のタイミングで攻められなかったのも事実だ。普段なら自分のコンビネーションをもっと出しているので、今回はもっと自分らしさを出せると思うよ」
――ところで入場では猿(モンキー)のようなマスクを被ってきましたが、あれは?
「猿のマスクを被るには理由があるんだ。俺は小学校の頃に、イジメられていたんだよ。モンキーに似ているとか言われて。その時は非常に辛かったけど、イジメられている時に、自分の中で“自分の弱みを強みに変えろ!”という声がしたんだ。
それで、自分に起きることはすべて自分を強くしてくれるものだと思うようになっていった。弱みは逆に言うと、その人のオリジナリティでもあるし、特長だからね。若い時は自分の弱みだと思っていたけど、今はイジメられている人に、それを強みに変えることが出来るっていうことを証明していきたいと思っている。だからメッセージとして、試合ではモンキーのモチーフを見せつけているんだよ」
――イジメに遭っている人にメッセージを与えようとしていると。だから、背中にモンキーのタトゥーが入っているんですね。
「これは2年前くらいに入れた。18歳でプロになり、24歳に入れた。今26歳なんだけど、ずっとそれ(モンキーのタトゥー)を入れる夢を見ていたんだ」
――格闘技を始めたのは?
「5歳の時キックボクシングを始めた」
――スリナム系のオランダのK-1選手は、アーネスト・ホーストさんやレミー・ボンヤスキーさんがいます。
「レミーとは、18歳の時に一緒に中国へ行ったことがある。K-1の試合が終わった後も、2回ほどメディアでレミーとの対談を受けたよ。俺のFacebookに、その様子が載っているよ」
――K-1にはどんな印象がありますか?
「当時は5歳の時に、よく弟とK-1ごっこをしていた。レフェリー、審判、ファイター役まで自分たちで全てして、めちゃくちゃだったけど楽しかったな。今思うと、自分がそのK-1リングに立っているのが凄いなって思っているよ」
――K-1の舞台を経験したという実感は。
「リング上では感じる余裕がなかった。でも帰ってきて、もらったグローブ、トロフィーを飾って毎日見てるし、タナンチャイとの試合は1000回以上も見てる。自分が夢見ていた人生を生きているという実感は、これから出て来るだろうね」
――決勝ラウンドのこともお聞きしたいのですが、まず組み合わせ抽選会では、みんなオウヤン・フェン選手のことを避けて、あなたはヴィクトル・アキモフ選手を選びました。
「オウヤンについては、試合前も抽選会の時もよく知らなかった。でも、アキモフの勝ち方が美しくて魅力を感じたので、彼の所に行っただけ。それ以外の理由はない」
――どこが美しかったですか?
「あの試合はリングサイドで座って見ていたけど、アドレナリンで何が起きているのか記憶にないくらい勝ち方が美しく感じて、この人と戦ってみたいという気持ちが出てきたんだ」
――アキモフ選手は、中島玲選手をバックブローでKOしました。
「素晴らしい勝ち方をしたよね。気持ち良さそうに叫んでいたのを見て、それを奪いにいくぞと思ったよ。そいつには(中島には)効いたかもしれないけど、そのテクニックは俺には通用しないぞというのを思い知らせたい」
――どんなフィニッシュを考えていますか?
「あまり自分にプレッシャーかけたくないけど、ノックアウトすると思う。左で倒すよ。ボディーか顔に当てて」
――MAXの70kgの階級で、憧れのスターはいましたか?
「一人ではなくて、マイク・ザンビディス、アンディ・サワー、魔裟斗、ブアカーオ、みんな僕にとっては特別な存在だよ。自分も、彼らと同じようにスター性を持つ特別なファイターとして活躍していきたい。そのためには何でもやるつもりだし、K-1と言えばロマーノと思われるようになりたいね。そして今後俺のことは“ザ・モンキーキング”と呼んでくれ!」
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