news

ニュース

<誰も知らないMAX 7人の物語5>“ロシアンアドベンチャー”ヴィクトル・アキモフ「対戦相手よりも海の方が、全然怖い」

 7月7日(日)に東京・国立代々木競技場第二体育館で開催の「K-1 WORLD MAX 2024」のK-1 WORLD MAX 2024 -70kg世界最強決定トーナメント決勝ラウンド進出を決めた、海外強豪の7人(ワイルドカード除く)。一体、どんな選手なのか? 短期連載で開幕戦を振り返りつつ、彼らの素顔を探ってみた(第5回=ヴィクトル・アキモフ)。
“ロシアンアドベンチャー”ヴィクトル・アキモフは、MAX世界開幕戦でボクシング出身の中島玲を大技バックブローでKOして注目を集めた。日本在住のロシア人は船乗りで、妻を追って来日したという。決勝ラウンドでも、あっと言わせることができるのか。
<7・7決勝トーナメント一回戦組み合わせ>
オウヤン・フェン(中国)vs.ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)
デング・シルバ(ブラジル)vs.ダリル・フェルドンク(オランダ)
ヴィクトル・アキモフ(ロシア)vsロマーノ・バクボード(スリナム)
カスペル・ムシンスキ(ポーランド)vs.ゾーラ・アカピャン(アルメニア)
――K-1初参戦で勝利しました。
「ありがとうございます。僕も有名になれたので、めちゃくちゃ幸せです」
――開幕戦は、中島玲選手からバックブローで派手にKOしましたが、あれは狙っていたのでしょうか。
「はい。たまたま出して当たったというラッキーじゃなくて、最初からやろうと思っていた技です」
――しかも、2回もバックブローが当たりましたね。
「準備していましたからね」
――開幕戦は直前の試合オファーだったと思います。
「大会の3日前に試合オファーがあったんです。その10日前にも試合があって、休もうとしていた時にダニロ・ザノリニ先生からメールで連絡がありました。夜遅くだったので、ちょっと時間をちょうだいと言って、朝まで考えました」
――試合をしたばかりで、K-1という大きな舞台の世界トーナメントですから、考えて当然ですね。
「ケガとかは何もなかったんですけど、朝までどうするか考えて、出場することにしました」
――初めてのK-1の大舞台はいかがでしたか?
「前に出た日本の試合とは全然違うレベルでした。K-1は映画みたいな感じでしたね」
――アキモフ選手は日本での試合経験もありますが、格闘技のキャリアを教えてください。
「12歳からボクシングを始めました。僕はウラジオストクで育ったんですけど、子供の頃から住んでいたところは街とかではなく、すごく小さな村で、ボクシングジムしかなかったんです。ボクシングの先生は、みんな男の子に技術を教えていました。僕は15とか16歳の時までそこでボクシングを習い、あとはK-1をテレビで見て、キックボクシングを始めるために街まで出て通っていました」
――プロになろうと決めたのは、何歳ですか?
「練習が好きなので、プロになるとかは夢でした。ただ、一生懸命に練習をしていただけです。でも26歳になって初めてタイに行って、キャンプをやって試合をしました。向こうはプロも多かったですが試合に勝つことができて、プロになるのも悪くないと思いました」
――デビューは遅かったんですね。
「プロになるつもりはなかったんですが、時間は今しかないので、やってみないと分からないからやったという感じでしたね」
――日本在住と聞いていますが、どんな経緯で来日されたのでしょうか?
「ロシアのウラジオストクと日本は近く、日本のことはよく知っていて好きでした。妻も日本が好きで、先に日本へ行っていたんです。それで僕も、妻を追って日本へ来ました」
――仕事は?
「ずっと海の仕事です。4カ月とか船に乗って海にいます。大きな船でガソリン関係の船になります」
――いわゆるタンカーですね。また海に出るのでしょうか?
「今は行ってないです。でも、これからもいつ何があるか分からないので、いつでも行けるようにしています」
――船に乗ってしまっていたら、トレーニングはどうしているのでしょうか?
「船には、サウナもあって、テレビもジムもあります。仕事外は、船の中で練習していました」
――最初に日本に来た場所は、富山県と聞いています。
「そうですね。ずっと富山です。富山でもずっと練習はしていたのですが、さらにキックボクシングのレベルを上げるために、岐阜に移住しました」
――そこでダニロ先生に出会い、キックボクシングの試合経験を積んでK-1に参戦することになったわけですね。人生は何があるか分からないですね。
「本当にそうですね。K-1が、僕につけてくれたニックネーム『ロシアンアドベンチャー』は気に入っているし、完璧だなと思いました(笑)」
――たしかに『アキモフの大冒険』という感じですね。アキモフ選手が考えるこれがK-1だという闘いはどういうものですか?
「K-1という舞台は、単純に闘いだけを見せるのではなく、子供の頃から習ったこと、その技術や思いをリングまでの花道、前日の計量、すべてを通してみんなに見せることだと思っています。全てがプロという感じがK-1にあります」
――それを3月の開幕戦で感じましたか。
「ええ。すべてがエモーションであり、人生で一番嬉しかったです」
――決勝トーナメント一回戦は、ロマーノ・バクボード選手に決まりました。抽選会では選ばれる形になりました。
「受け入れて楽しもうと思いました。最初から戦いたいと思っていた相手だったので、よかったです」
――バグボード選手は、アキモフ選手の試合を美しいと思い、対戦に名乗りを上げたようです。
「それは嬉しいですね。ありがとうございます」
――どんな展開になると予想されていますか?
「チャンピオンになりたいので、最後まで頑張るしかないですね。自分の強いところは今は言わないので、試合で見てください」
――トーナメント出場選手で気になる存在はいますか?
「好きな人とかは言えませんけど、みんなプロの選手なので同じです。今は、次の相手に集中しています」
――初戦のバグボード選手もそうですが、ブラジルのデング・シルバ選手は長身で攻撃力もあります。他の選手を見て怖さとかないですか?
「怖いとかは全然ないですね、僕はファイターとしては小さいけど行くしかないので。日本語で表現するのは難しいんだけど、K-1っていうのは試合とかじゃなくて本当に闘い戦争ですね。勝つか死ぬかっていう感じです」
――それでも怖くないと。
「海の方が、もっと怖いです。対戦相手よりも海の方が、全然怖いですよ。僕は、そこで鍛えられて強くなったのかもしれません」
――最後に7月7日の大会への意気込みを教えてください。
「『ロシアンアドベンチャー』の活躍を楽しみにしてください。これからも、何歳になっても好きなことをずっと続けていれば、幸せになれることを証明していきます」
チケット購入