“王者”軍司泰斗、タイトル防衛戦で寺田匠に要求「打ち合ってくれ」=9.29代々木
軍司は、21年12月に椿原龍矢のK-1フェザー級王座に挑戦して勝利し、第5代K-1フェザー級チャンピオンに就任。22年8月のフェザー級世界最強決定トーナメントではファク・スアレス、玖村修平、斗麗を下して優勝。23年3月にヴュー・ペッコウーソンに勝利し、初防衛。同年7月はダウサヤーム、9月はISKA世界王者のアンジェロス・マルティノスを判定で撃破。24年3月はRISE対抗戦で門口佳佑を延長判定で下し、今回が二度目の王座防衛戦となる。
寺田は、23年11月にイタリアの「OKTAGON」でISKA世界スーパーフェザー級タイトルマッチでミルコ・フルメリをTKOで下し、王者に。24年2月は「RIZIN LANDMARK 8 in SAGA」で冨永武聖から1RTKO勝ち。team VASILEUSへ移籍後、7月に兼田将暉を判定で破り、軍司泰斗に対戦アピールし今回のタイトルマッチを実現させた。
「独特の前に出てくる戦い方だな、という印象ですね」
――では、そのうち寺田選手が上がってくるだろうなと思っていたわけですか?
「いえ(笑)。この前、兼田選手と試合をしたので、それで見たというか。そもそも僕は他の選手の試合をあまり見ないんで」
――対戦相手が決まってから、じっくりと試合を見る感じなのですね。
「まあ、そうですね」
――下から出てくる選手は、あまり眼中にはない感じですか?
「モチベーションが上がる相手ならばいいですけど、まあしょうがないという感じなんじゃないですかね」
――王者として防衛戦をする義務があると。
「義務、そうですね。でも、もともと今回のタイトルマッチが決まる時は、兼田選手が勝ったらやってもいいよという約束だったんです。それで、Krushの宮田(充)プロデューサーからは『つまらない試合だったらリングに上がらなくてもいい』と言われていて」
――軍司選手は寺田選手と兼田選手の試合をリングサイドで観戦されていましたので、どうするかは試合を見て決めると。
「ええ、でもあんな試合になって(笑)。なので僕は、(リングに)行くつもりがなかったんです。圧勝で終わるか、兼田選手が勝ったら行こうと思っていたので。でも、カメラにずっと僕が抜かれていて終わるかなと思っていたんですけど、それがずっと続いていて、行かなければいけない状況になってました(笑)」
――試合前は軍司選手と兼田選手との対戦の機運が高まっていたため、想定外のことが起こっていたわけですね。
「気づいたら、あんなこと(受けること)になっていました(笑)」
「思い通りに戦えたという感じですね。倒せれば良かったのはもちろんですけど、倒れないと思っていたので、相手の技を見切って自分の攻撃を当てることができました。判定で、一人が向こうにつけたのは“えっ”と焦りましたけど(笑)」
――門口選手を支持したジャッジがいると、向こうが勝っていたという声もあがってきますね。
「最近、そういうアンチが多くなってきましたけど、気にしないですね。倒せばいいという話なんで」
――今後、目指すのは変わらずに対世界という意識ですか?
「うーん、それも最近は何とも思わないというか。でも相手がいないんで、出てくるのを待つか、階級を上げるかかなと」
――待つというのは?
「55kgの奴ら(金子晃大や玖村将史)が上げてくるという噂も聞いていたので、それを待とうと思っていたけど、どうやら上げないようなので」
――では階級を60kgのスーパー・フェザー級に上げることも視野に入れていると。
「いつ上げてもいいように、準備はしています。普段から体重は73、74kgあって、減量幅は13kgくらいなので、全然試合はできますね。上げるからには、もちろんチャンピオンを狙っていきます」
――門口戦の前は、フェザー級統一を宣言されていましたが、自分の中では達成した感じですか?
「自分が考えるイメージとは違いました。対抗戦は、こっち(K-1)で試合をすることになったので僕は自分のタイトルをかけて戦いたいと思っていたんですけど、それが叶わなかったので、やる意味ないなと。ボクシングだと互いのタイトルをかけて、勝った方が統一していっているわけじゃないですか。それができないなら、やる意味ないです」
――たしかに、井上尚弥選手の4団体統一戦とか分かりやすいですからね。それができないキック界は違和感がありますね。
「僕は、試合をたくさんやりたいんです。ケガとかしない方なんで。今年7月も海外の選手とやりたいと言っていたんですけど、流れてしまって。半年も試合が空くと、モチベーションが落ちてしまうんです」
「やっぱり、2人は別格かなと思いました」
――-55kgトーナメントの金子晃大選手、玖村将史選手ですか?
「ええ」
――他にも与座優貴選手がゴンナパー選手を秒殺KOしました。
「でも、あれは与座選手が強いと思いましたけど、ゴンナパー選手は全盛期のイメージと違ったので」
――軍司選手は、どんな試合を見せたいとかありますか?
「打ち合いですね。疲れるけど、盛り上がるので。打ち合っていると歓声が聞こえてくるので、気持ちが入るんですよね」
――寺田戦も、そうなる?
「どうですかね。打ち合ってくれればいいんですけど、最初は堅く戦ってくるイメージがあるので、どうなるか分からない」
――フェザー級は、橋本雷汰選手や松本海翔選手など若い選手の台頭も目立ちます。どう見ているんですか?
「若いやつは勢いがいいので当たれば考えますけど、僕らみたいになってくると勝ち負け以上に恐怖心が出てくるんです」
――勝ち負けではない恐怖心?
「はい。パンチのもらい方とかですね。若手は最悪もらってもいいという感じで、ガンガン出てくる。だから森坂陸選手も、それで負けたと思います」
――怖いものなしに打ち合いを挑んでくるのは、若い選手の良さでもあります。
「自分たちみたいに経験があると、そこを乗り越えてきているんですけど、だからこそ試合では葛藤が出る時もある。変な試合になる時は、その恐怖心が出た時です。とくに外国人と戦う時は、どのくらいのパワーがあるか分からないので恐怖心はありますよね。そしてチャンピオンだと負けられない気持ちもプラスされるので、つねに自分と戦っている感じです」
――激闘にしたいという希望がありながらも、一方ではその恐怖心と向き合っていると。
「そこは、自分との闘いです。今回の試合でも、そういう部分も含めて見てもらいたいと思っています」